必要なのは「手段」ではなく「目的」の共有 いま、アドバタイザーが「広告」という言葉を定義すべき理由

■アドバタイザーによる広告の定義

前段:【広告業界の現状、およびアドバタイザーが広告を定義するに至った運び】

現在の広告業界は、多くの課題に直面しています。偽・誤情報に基づく広告や誇大広告などの増加や、過酷な労働環境をはじめとする不十分な人権意識が問題視された結果、広告一般に対する好感と信頼が共に失われつつあります。同時に接触メディアの多様化に応じて広告のあり方が変わったことにより、広告への興味関心が低下してもいます。

情報の受け手と送り手、さらには社会全体において広告のイメージが悪化し、存在感が薄まりゆく状況の中、業界は今一度広告の本質に立ち戻り、生活者に寄り添い、信頼創造に向けた改革を進めていくことが求められています。テクノロジーの発展を正しく活用し、価値観の移り行きを繊細に捉え、様々な立場の人々の人権を尊重することで、人々が自らの可能性を拡げ、より幸福な生活を送れることに資する広告が、今こそ必要とされています。

われわれ日本アドバタイザーズ協会は、広告企画・制作・流通の起点に位置し、公益性の一端を担うアドバタイザーの団体として、ここに広告を定義し、さらに今後の広告の望ましい姿とわれわれが果たすべき役割について宣言いたします。

第一文:【広告の定義】

日本アドバタイザーズ協会は広告および広告活動を次のように定義する。

アドバタイザーは企画・制作・表示などの役割を担う事業者と協力しながら、必要な費用を投じて、有形無形の要素から成るメッセージを作り上げるとともに、生活者に向けてメディア上で発信し、その意識や行動に働きかける。(内容)

そして、広告活動はアドバタイザーの経営戦略・事業戦略の一環として、自らの価値提案をすることで生活者に便益をもたらすために行われる。(目的)

すなわち広告とは、以上のような内容と目的を特徴とする、情報の送り手と受け手の双方にとって有益なコミュニケーション活動およびその成果物のことである。

第二文:【アドバタイザーの宣言】

われわれアドバタイザーは、広告が公益性の一端を担うものであることをここに確認する。

それゆえ、広告は、表現においては創造的でありながら健全かつ信頼に足るものであり、制作・発信においては生産的でありながら適正かつ透明なものであるべきと考える。

そして、この理念のもと、すべての人々の人権を尊重し、広告を取り巻く環境がより良く、より豊かになっていくよう努める。

以上のことに鑑み、われわれアドバタイザーは、広告によって生じる影響や効果を通じて生活者との間に好ましい循環を生み出し、社会と文化の持続的発展に貢献するものとする。

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