フォントメーカーのモリサワは5月26日、佐賀県上峰町の中心市街地活性化事業の一環として、まちづくりの想いを視覚的に表現したオリジナルフォント「カゼマチ明朝」を開発したと発表した。
「上峰町中心市街地活性化事業」は、佐賀県上峰町および民間事業者による合同会社・つばきまちづくりプロジェクトが取り組む事業。まちの個性を表現するための「看板」や「案内サイン」に使用する、まち独自のオリジナルフォントの導入が検討されていた。
そこで、既存フォントのライブラリの豊富さやライセンス面の明確さ、そして文字文化への深い知見のあるモリサワに相談の声がかかった。同社としても、オリジナルフォントの制作は一般企業からの依頼が多く、今回のようなまちづくりを目的としたプロジェクトでの事例は多くない。また、上峰町の町長が大のフォント愛好家であったことも実現に至った大きな理由だという。
今回誕生した「カゼマチ明朝」は、つばきまちづくりプロジェクトとともにデザインの検討を行い、やわらかな印象と自然な温かみを感じさせる「A1明朝」をベースに開発が進められた。線が交差する部分には“墨だまり”の表情が再現され、やや平体ぎみのプロポーションとなっていることが特徴。まちづくりのコンセプトである「自由が吹く。」という言葉とも呼応するデザインになっているという。
制作されたフォントは、本施策の第一歩となる大型施設で、4月6日にオープンしたばかりの「道の駅かみみね」内の各所で使用されている。
「道の駅かみみね」内。掲示物や案内板など、各所に「カゼマチ明朝」が使用されている
今後も施設サインや刻印だけでなく、広報宣伝物など、まちづくりに関するあらゆる施策で「カゼマチ明朝」が使用される予定だという。
