店舗来店とECを横断して効果を可視化 高い精度で顧客像分析と成果を結びつける

カー用品店「オートバックス」などを全国展開するオートバックスセブンは、NTTドコモが持つ約1億に上る国内最大級の顧客基盤データを掛け合わせることで、マーケティング施策の効率化と効果の可視化に取り組んでいる。

 

ユーザーの購買動線がECと店舗を横断する中で施策の効果測定に課題を抱えていたが、ドコモが保有する位置情報や決済のデータ、Web上の行動データなどを掛け合わせ、精緻なターゲティングや詳細なセグメンテーションを実現。来店や購買のリフトアップにもつなげた。

 

両社の手応えと今後の可能性について、オートバックスセブン(以下、オートバックス) 販売促進部の松栄勝雄氏、関享信氏、篠崎拓哉氏と、NTTドコモ(以下、ドコモ) マーケティングイノベーション部の鈴木耕平氏、及川萌氏に聞いた。

精度の高い来店計測を求めて導入

:オートバックスでは店舗集客の施策として、長くテレビCMやチラシをメインとしてきましたが、テレビの視聴者や新聞の読者が減少傾向にある中でデジタル施策を強化しています。具体的には、デジタル広告や動画コンテンツ配信、オウンドメディアやそのSEO対策などです。

写真 人物 オートバックスセブン 販売促進部 デジタルコミュニケーション課 課長 関享信 氏

オートバックスセブン 販売促進部 デジタルコミュニケーション課 課長 関享信 氏

デジタル施策は効果の可視化がしやすいとされますが、なかなか顧客が見えにくいことが課題でした。他プラットフォーマーで提供されている来店計測の数字は、効果の実感との乖離が見られました。打った施策が実際にどれほど来店に結びついているのかを把握したいと思った時に、来店や購買といったコンバージョンまで計測できるドコモのソリューションに魅力を感じ、導入を決めました。

鈴木:オートバックス様はエリアや店舗別のコミュニケーションを重視されているので、位置情報を活用したセグメンテーションや広告配信ができるといったことに価値を感じていただきました。もともとd払いを導入いただいていたので、そのやり取りの延長線上で当社に相談をいただきました。

写真 人物 NTTドコモ マーケティングイノベーション部 鈴木耕平 氏

NTTドコモ マーケティングイノベーション部 鈴木耕平 氏

提案の際には、たとえば位置情報(*1)を活用して来店の頻度から従業員の可能性が高い人を推定した除外や、滞在時間が極端に短い人は待ち合わせに使っただけかもしれないので除外するといったように、細かな設定で来店者を正確に捕捉できるため、実際の効果を精緻に可視化できるといった説明もさせていただきました。

*1)位置情報は、顧客の同意を得た上で、個人が特定されない形で適切に取り扱っている。

顧客の解像度が高く、的確なアプローチが可能

松栄:ドコモさんとの取り組みは、1年半ほど前からスタートしました。最初は小さく始めようということで、関東エリアのターゲットに向けて、位置情報を使って広告配信を行いました。

写真 人物 オートバックスセブン 販売促進部 販売促進課 課長 松栄勝雄 氏

オートバックスセブン 販売促進部 販売促進課 課長 松栄勝雄 氏

驚いたのは、顧客像が非常に解像度高く見えること。ターゲットとなる顧客の年齢や性別はもちろん、車利用という観点から、多角的に抽出した匿名化データを用いて、ターゲットに合った適切なコミュニケーションを取っていけるというのは、魅力的だと思いました。

篠崎:ほかにも、普段どのようなアプリやWebサイトを利用しているのかといったこともわかるので、マーケティング施策に反映しやすいことも魅力でした。クリエイティブに関しても良いものと悪いものが判断でき、どのクリエイティブを使っていこうかといったことをドコモの皆さんと協議しながら、よりよい施策が打てたと感じています。

写真 人物 オートバックスセブン 販売促進部 デジタルコミュニケーション課 篠﨑拓弥 氏

オートバックスセブン 販売促進部 デジタルコミュニケーション課 篠﨑拓弥 氏

及川:当社が提供するデータは、実際の顧客行動をもとにした情報であるということが特徴的です。個人を特定できない範囲で、一人ひとりの顧客データからオートバックス様のターゲットに合致するとされるセグメントをいくつか作成させていただきました。

写真 人物 NTTドコモ マーケティングイノベーション部 及川萌 氏

NTTドコモ マーケティングイノベーション部 及川萌 氏

鈴木:セグメントを作成して、より細かい粒度で広告配信を行い、その後来店や購買にどの程度役立ったのかという計測、及びペルソナ分析などによって得た洞察から今後の実施計画の示唆出しまでを担当させていただきました。

広告配信後は、オートバックス様のWeb上での予約情報やECサイトの購入情報、リアル店舗での購入情報などを紐づけて、オンオフ統合した、サイト横断、チャネル横断でのコンバージョン分析や施策の評価を多角的かつ、精緻に行いました。デジタル広告を見た人やクリックした人がECサイトで購買しているかというのはもちろん、ECサイトは途中で離脱していても、その後リアル店舗に来店して購買しているといったことまでわかるのが我々の強みです。

そうした成果を踏まえて、今後のオートバックス様のメディアにおける顧客とのコミュニケーション戦略の検討材料を提示するところまで担当しています。

ペルソナ像が現実につながった手応え

松栄:2024年冬にオールシーズンタイヤを暖冬対策の一環としてプロモーションを強化しました。このプロモーションに、2回目のドコモとの取り組みとして、ドコモソリューションを活用して行いました。ターゲティングは、タイヤメーカーが描いたペルソナ像に基づいて実施し、普段から旅行関係のWebサイトを見るなど旅に行きたいというニーズを持っている人、かつ普段はスタッドレスタイヤを必要としない首都圏や関西などのエリアに住んでいる人を選定しました。

その結果、遠出の旅行や年末年始に帰省をしようと考えている人たちの購入傾向が見られました。これまでは効果が反映されているのか確認することができなかった、想定のペルソナと実際のペルソナが一致し、購入につながるという確かな成果もわかるので、タイヤメーカーからもドコモデータを使ったターゲティング施策に手応えを感じていました。

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鈴木:施策の実施後、前年比や前期比で広告配信期間に売上がどの程度リフトしたのか、費用対効果はどうだったのかといった計測を行ったところ、ドコモで作成させていただいた全セグメントにおいて、購買の上昇傾向が見られました。この結果を見て、オートバックス様の売上拡大に貢献できたと実感しています。

ファクトデータに基づき施策の実施から検証、次の施策検討というサイクルを、解像度を上げながら実施することができました。

情報の組み合わせによる顧客に応じた戦略への活用

:ドコモさんのデータには、位置情報や決済情報など、我々が持っていないデータがあることがとても大きいと感じています。オートバックスは、自社でWeb上の顧客行動と会員データなどをまとめて把握し、アプリやメールでの情報発信に役立てています。今後もこうした我々の取り組みとドコモさんのデータをどう紐づけ、次のマーケティング活動に昇華させていくかといったことに、課題として取り組んでいきたいと思っています。

経営課題という面でみても、アップセルへの対策をしていくという観点でのデータ価値はあがっています。ドコモデータとオートバックスデータを掛け合わせてどのように有益に活用できるかにも期待したいです。

及川:位置情報やd払いの決済データについては、たとえば来店頻度や1回に使っている金額、購入頻度といったところまで細かく見ていくこともできます。そうしたデータは、ペルソナをもっと詳細に可視化してみたり、施策をさらに細かく評価したりといったことにも活用していただけるのではと感じています。

※※※※※

鈴木:たとえば、車のメンテナンスが好きな人はタイヤを自分で取り付けるから、オートバックスではなくタイヤの専門店から安く買うといった傾向も見えています。そうした人に対して、タイヤもオートバックスで購入してもらうにはどうしたらいいのかといったことを深掘りして分析し、より購入単価を上げてもらうことが可能であると思います。

及川:ドコモではデータに特化した専門部隊によるバックアップ体制の充実を進めています。今後も提供価値を増やしていくことで継続的にご支援していきます。

オートバックス×ドコモ 協業による施策のポイント

・デジタル施策へのシフトを進めるも、どの施策が効いているのか効果の可視化に課題を抱えていた。オートバックスが持っていない位置情報データや決済データといった独自データを持つドコモのソリューションを採用

 

・広告によって来店した人が、デモグラフィック属性だけでなく行動パターンや使用するアプリなども含めて、匿名化しながら解像度高く分析することが可能

 

・セグメントの作成、広告配信の実施、効果計測までの一連の流れをドコモがサポート。ECサイトとリアル店舗それぞれの行動までを追って次の施策の検討材料までを提供することができる

 

・施策の実施に加え、データ分析の専門部隊による分析と検証を繰り返せることで、マーケティング戦略のアップデートに貢献。

 
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お問い合わせ

株式会社NTTドコモ

Webサイト:https://ssw.web.docomo.ne.jp/marketing/
メール:ad-sales-ml@nttdocomo.com


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