田中直基クリエイティブラボ。サントリー生ビールの課題に挑んだ第2期をレポート

田中直基氏(Dentsu Lab/チーフ・クリエイティブ・オフィサー、クリエイティブ・ディレクター)が講師を務める宣伝会議のクリエイティブ講座「田中直基クリエイティブラボ」の第3期が、2025年7月9日(水)に開講します。

開講に先立ち、本記事では第2期の最終課題の模様をレポート。4チームに分かれて実際の企業課題に取り組み、実務さながらのプレゼンを行いました。

課題テーマは「サントリー生ビールの新たな飲用体験」

同講座の第2期では企画の考え方や実践的な方法論を学んだ後、グループ課題として企画書を作りプレゼンを行うという課題演習を行いました。サントリーの協力のもと、「サントリー生ビール」を商品と仮定し、「人の心を楽しく動かす」をテーマに設定。ルーティーンで同じ銘柄のビールだけを毎日購入する“岩盤層”の人たちの心にどうアプローチするかを焦点に企画を作成しました。チーム内に、業種や経験を問わず様々な立ち位置のメンバーがいることによって、新たな視点やユニークな切り口の企画が生まれました。

全4チームに分かれて企画を発表したのち、田中氏とサントリーの宣伝部長である重野謙介氏が、各チームのプレゼンテーションについて、ビジュアルの活用、情報の構成、企画の独自性、企画の実現性などの観点から詳細なフィードバックを行いました。

優秀作は「全肯定 Beer Bar」

4チームで模擬的な競合プレゼンを行った結果、最優秀作として選ばれた企画は、「全肯定Beer Bar」。岩盤層の「わざわざ冒険して、失敗したくない」というインサイトに対し、失敗への不安よりもうまさの好奇心が勝る環境をつくる戦略を立案。来店者(=その日一生懸命生きた人)を、スタッフが積極的に褒めてくれる期間限定のビアバーを提案しました。

最優秀作を受賞したチームに、企画意図を伺いました。

他ブランドのビール愛飲者に振り向いてもらうため、商品の魅力を直接訴求するのではなく、「いつもと違うビールを試したくなる飲みの機会」を設計することに注力しました。最高のビール体験と「生きれば生きるほど生ビールはうまい」というブランドメッセージの交差点を探求し、「全肯定Beer Bar」というコアアイデアを創出。実現性とPR性を両立させるため、チーム全員が自信を持って取り組めるレベルまでコンセプトを磨き上げました。

講師の田中氏は「どのチームも人の気持ちのスイッチを捉えた企画だった」と総評。重野氏は選定の理由として、ターゲットを深掘りすることの重要さを交えながら、ターゲットと向き合う姿勢と企画の内容まで背骨が通っていたことに言及。さらに、ターゲットの深掘りから発見できることがたくさんあるとし、ターゲットをどう分析するかは、自身が見たものや体験したものなど、様々なところから引っ張り出してきたものにしか真実はないと続けました。

さらに、受講者の中から「全肯定Beer Bar」を企画したチームの4名に講座を受講しての感想を聞いてみました。

これからのクリエイティブの形を見つけるぞ、と意気込んで受講したコピーライター/コミュニケーションディレクターの濱 智裕さん。講座を受講してみて、「一人ひとりに丁寧に向き合ってくれる田中さんの熱量や、毎週の課題で切磋琢磨したライバルたちの存在のおかげもあり、これから目指す道がハッキリし、普段の仕事もずっと楽しくポジティブに取り組めるようになりました。次の目標は、田中さんです!」とコメント。

「仕事ではご一緒できない色々な職種の方々と企画を出し合うのはとても刺激的でした。自分一人では見つけられなかった発見や共感を、講座を受ける仲間たちと議論しながら模索する時間が本当に貴重なものだと感じさせられました。また、毎週課題が出ていい企画かどうか競争する時間は緊張感があり、最初の課題よりも自分の企画が成長した達成感がありました」と、ディレクターとして活躍している寒川未空さん。

看護師を経て医薬系広告代理店に勤務する大野祐輝さんは、医薬業界以外の考え方やクリエイティブを身につけたいと考え受講。「少し異なる業界からの受講でしたが、提出課題に対して、田中直基さんが優しく、かつ的確なコメントをくださり、大変有意義な時間になりました。ここで得た学びを医薬業界で活かしていきたいと思います」

「もっと質の高いクリエイティブを考えられるようになりたい」という思いで受講したイベントプランナーの角田由貴乃さんは、「最初は課題で全く結果を出せませんでしたが、回を追うごとに考え方のコツを掴むことができ、コピーを褒めていただけた時には本当に嬉しかったです。この講座での経験がクリエイティブの仕事をこれからも続けていく勇気になっています」とコメントしました。

実務経験不問。第3期のエントリー締め切りは6月18日(水)

「田中直基クリエイティブラボ」は、別名「どんな課題も柔軟に楽しく解決するネクスト・クリエイティブ・ディレクター養成講座」です。アウトプットの形やメディアの枠組みにとらわれることなく、課題に応じて柔軟な思考で打ち手を繰り出していくための考え方と方法論を講義+実践的な課題演習を通じて学んでいきます。

一つの正解を一方的に教えるのではなく、考え話し合い、議論しながら正解を見つけていく講座です。大学のゼミや研究室のような、一緒に新しいクリエイティブの方法論を探求する場所を求めている方は、ぜひ講座の詳細をチェックしてみてください。

<第3期 田中直基クリエイティブラボ 概要>
◯開講日:2025年7月9日(水)19:00~21:00
◯講義回数:全8回
◯定員:15名程度 ※希望者多数の場合は事前に選考を行います
◯開催形式:教室開催(南青山・宣伝会議セミナールームもしくはDentsu Lab Tokyoのいずれか)
◯詳細・お申込はこちらから

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田中 直基

Dentsu Lab
チーフ・クリエイティブ・オフィサー / クリエイティブ・ディレクター / コピーライター

クリエイティブディレクター、コピーライターとして、言葉、映像、デザイン、テクノロジーなど、課題に適した手段でニュートラルに企画し、世の中や企業のさまざまな課題を解決している。主な仕事に、大阪・関西万博水上ショー「アオと夜の虹のパレード」、TOKYO2020パラリンピック開会式”PARAde of ATHLETES”、AI監視社会から逃れるカモフラージュ「UNLABELED」、「マツコロイド」、Eテレ「デザインあ」、サントリー「サントリー生ビール」、「話そう。」、「人生には、飲食店がいる。」、パートナーエージェント「ドロンジョとブラックジャック」、YouTube「好きなことで、生きていく。」など。国際的なエンターテイメントのアワードTHEA CATARYST AWARDを日本人で初めて受賞したほか、主な受賞歴に、TCC賞グランプリ、ADFESTグランプリ、朝日広告賞グランプリ、広告電通賞グランプリ、ギャラクシー賞、ADC賞、ACC賞、Cannes Lions、D&AD、LIA、NY ADC、グッドデザイン賞、クリエイターオブザイヤー2021メダリストなど。Forbes Japan「NEXT100:世界を救う希望」にも選出された。今年のカンヌライオンズでは、デジタルクラフト部門の審査委員長も務める。

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