カルビーは5月1日から、オフィス勤務者の働き方を刷新し、モバイルワークと出社を柔軟に組み合わせ、勤務場所や時間を自律的に考える「カルビーハイブリッドワーク」へ移行。あわせて、本社オフィスを増床したほか、社員申請型の遠隔勤務制度を本格導入した。同社は6月9日にメディアに向けて「カルビーハイブリットワーク 説明会」を開催した。
カルビーハイブリットワーク 説明会」の様子。
左から、カルビー 人事・総務本部 人事労務部部長 石井信江氏、人事・総務本部 人事総務部部長 種橋直実氏。
カルビーの働き方改革の変遷
カルビーグループは2014年に在宅勤務制度を開始し、2017年には利用日数や場所の制限をなくした「モバイルワーク制度」を導入。当時は制度を利用する社員は一部に留まっていたが、2020年7月に新型コロナウイルスの影響を踏まえたニューノーマルの働き方「Calbee New Workstyle」を導入し、オフィス勤務者はモバイルワークを原則とした働き方を進めてきた。2021年12月には、シェアオフィスを法人契約し、オフィス、自宅を補完するサードプレイスとしての利用も見られていた。
このように「働く場所」の改革を進めてきた同社だが、コロナが5類に移行したのち、課題もみられていたという。
「自由度のある働き方であったことで、働く場所の選択が個人の都合によりすぎてしまっているケースが散見されるようになりました。例えば、リアルコミュニケーションで実施したいが上司が言い出しづらい・部下が拒否するというケースや、個人ワークで完結させることでチームワークに支障がでるといったケースがありました」と人事労務部 部長の石井信江氏は話す。
このような課題が背景にあり、5月から出社・モバイルワークを組み合わせた「ハイブリッド型」への移行を決定した。
「ハイブリッド型」移行にともなう変化
ハイブリッド型に移行しても、「成果から逆算して、働く時間と場所を自律的に選択する」という基本的な考え方はモバイルワーク主体の時代から変化はないが、「チームで成果を求める場合は積極的にリアルコミュニケーションを選択する」というメッセージを社内に発信しているという。
また、ハイブリッド型への移行にともない以下を実施。
①通勤交通費の支給上限を撤廃
②本社オフィスの増床
③申請型遠隔勤務制度の整備・制度化
オフィスについては、出張者の滞在時などに一時的に執務席が不足する、会議室の予約が埋まっており、来客対応ができないといった課題に対応。従来の1フロアから、増床により2フロアになったことで、リアルなコミュニケーションがとりやすい環境を整えた。
「既存のフロアは社外からのお客さま対応の場、そして増床した新フロアは社内利用といった機能分けをしています。また、新フロアでは社内イベントも活発に行われています。現在、組織ごとの横の連携強化の動きもあるため、各部門の理解を深めるための取り組みも計画しています」と人事総務部 部長の種橋直実氏は話す。
増床した新フロア。
また、申請型遠隔勤務制度とは、従業員が、所属する組織の拠点に住居を構えなくても、モバイルワークを基本とした業務が行えるというもの。従来はケースによって対応していたが、2025年から制度化。現在、約30件近い従業員からの申請があり、上司と業務遂行についてコンセンサスをとりながら承認が進められている。
「カルビーでは引き続き、全社一律での出社とモバイルワークの運用は行わず、仕事の目的・成果から逆算して、働く時間・場所を自律的に選択することでその働き方のメリットを最大限活用しながら、両立を実現していきます」と種橋氏は語った。
