崩れるSEO体制と新たな検索エンジン 情報探索と最適化戦略の現在地

生成AIの台頭により、業務の効率化が実現するとともに、メディアの在り方や、企業と人の接点の作り方をも変えるような大きなインパクトが予測されます。マーケターは、これらの技術をどのように受け入れ、業務に活かしていけばいいのでしょうか。今回は、マーケティングパラダイムシフトについて、富士通の山根宏彰氏が解説します。

※本記事は月刊『宣伝会議』7月号の連載「AI×マーケティングで未来を拓く」に掲載されています。

山根宏彰氏

富士通
研究本部 人工知能研究所 研究員

ゼロクリック検索の台頭と情報消費行動の変化

前回は概念的な話であったが、実務的な話に戻りたい。ここ20年ちょっとで、ビジネス・プライベートを問わず必須となったインターネット上での情報収集。特に検索エンジンの現在の状況と展望を、前半・後半の2回に分けて書いていきたい。

現代の検索エコシステムは、従来の想定をはるかに超える速度で変容している。Semrush傘下のDatosと、SparkToroによる2024年の共同調査によれば、検索結果からWebサイトへの訪問を伴わない「ゼロクリック検索」は、2024年において米国では58.5%、EUでは59.7%に達しており、検索の約6割が検索結果ページから一切クリックされることなく終了している。

さらに、1000回の検索のうち、米国では約640回もの検索で、ユーザーはGoogleが所有している検索結果ページから離脱せずに必要な情報を入手していることが明らかになった。この調査はクリックストリームデータを用いた広範な分析に基づいており、検索行動の包括的な変化を捉えている。

この現象を牽引しているのが、Googleが提供する「AIによる概要(AI Overviews)」などのAI検索機能だ。Googleの公式ブログによると、ユーザーはAI Overviewsを利用することで、すでに何十億回もの検索を行っており、「AI Overviewsがあることで、ユーザーは検索をより多く使用し、検索結果に対する満足度が高まっている」と報告されている。

GoogleはAI Overviewsの効果測定として、ユーザーの検索頻度の増加とフィードバック機能を通じた肯定的な反応を指標としている。この機能は以前「Search Generative Experience(SGE)」と呼ばれていたが、2024年5月14日のGoogleI/Oで正式に「AI Overviews」として米国市場に向けてベータ版から正式リリースされた。

こうしたAI生成の概要機能は、複数のWebサイトから情報を取得・統合して、ユーザーの質問に直接回答を提供する。ユーザーは個別のサイトを訪問・比較する代わりに、このAI生成のスナップショットを読むだけで疑問を解決できるため、従来のように検索上位の記事本文まで読む必要性が薄れつつあるのだ。

…この続きは5月1日発売の月刊『宣伝会議』7月号で読むことができます。

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