インテリア総合企業のサンゲツ(本社・名古屋市)は、6月19日発刊の壁紙⾒本帳「2025-2027 SP」の一部に、塩ビ壁紙で国内初となるFSC認証取得商品を収録した。
業界全体で環境配慮への取り組みを
同認証は、非営利団体のフォレスト・スチュワードシップ・カウンシルが運営する国際的な森林認証制度。適切な森林管理と、森林から得られた木材や木材製品が違法伐採などから得られたものではないことを認証するもの。サンゲツは低環境負荷商品の開発や使用済み商品・見本帳のリサイクルなどを含む、事業活動を通じた環境負荷の低減に取り組んでいる。今回その一環として、調達面での環境負荷低減を目指し、塩ビ壁紙の裏打紙に認証紙を採用した。
同社ではこれまで、車両のクッション材の再利用などもしてきたが、供給量が限定的だった。「塩ビ壁紙は国内壁紙市場の99%を占めており、当社の主商材です。そこに認証紙を使うことが、環境に対する取り組み姿勢を示すメッセージになると考えました」と話すのは、イノベーション戦略室 マーケティング統括課の後藤創氏。同社のみならず業界全体で環境配慮への取り組みを進める、という姿勢を伝える意図もあるという。
経営層への説明のため社員アンケートも
採用に当たっての課題は、経済合理性と環境配慮のバランスだった。認証取得にはサプライチェーン全体のチェックなどが必要になるため、コスト上昇要因になる。そのコストを負担してまで認証紙を使うかどうか、経営層の判断を仰ぐ必要があった。
「経営層への説明に説得力をもたせるため、大手のハウスメーカーやディベロッパーに『この取り組みは当社の商品を購入する理由になるか』とヒアリングしたり、建設業界への従事者にオンラインで『商品を選定する際、環境配慮を意識しているか』とアンケート調査をしたりしました」(後藤氏)。また、インナーブランディングの観点で社員に対して『この取り組みが働くうえでのモチベーションになるか』とのアンケートを実施したり、社内のESG推進担当部署と連携してこの取り組みが投資家向けESGスコアに好影響を与えることも示した。これらの結果を踏まえ、「コストをかけた分の効果は、多方面で生じる」ことを説明したという。