AI時代に「仕事ができる人」の価値はどう変わる? LINEヤフー川邊氏らが語る人間の役割

都市の未来を創造するグローバルイノベーションイベント「SusHi Tech(スシテック)TOKYO 2026」4月27日から29日にかけて開催された。会期中に行われたAI関連のトークセッションの中から、「AIが奪うもの・奪えないもの」「AIエージェントが切り開く未来」「AI時代、未来の仕事はどう変わる?」の3つを抜粋し、その議論をレポートする。各業界のトップランナーたちは、AIがもたらす変革をどのように捉え、未来をどう展望しているのか。

「しごでき」から「人気者」へ、AI時代に求められる人間の付加価値

「AIが奪うもの・奪えないもの─そして、余白から始まる人間の再創造」と題したセッションでは、AIが人間の仕事を奪うという議論が過熱する中、LINEヤフー代表取締役会長の川邊健太郎氏と、慶應義塾大学 環境情報学部教授でLINEヤフーのシニアストラテジストでもある安宅和人氏は、AI時代における人間の本質的な価値について議論を交わした。

安宅氏は、AIの登場により、サイバー空間で完結する仕事は「ディレクションしてダメ出しすること」に集約されると指摘する。AIのアウトプットは概ね正しいものになるため、問われるのは「正しいけどイケてるか、イケてないか」を判断する能力だ。そのためには、特定の領域に関する深い知見や、ユーザー視点でのこだわり、つまり「センス」が不可欠になる。一通りの苦労を経験していないと、AIが生成したアウトプットは「スカスカなものになる」と、経験に基づく判断力の重要性を強調した。

一方、川邊氏は「しごできから人気者へ」という変化を予測する。知識集約型の産業において重要だった「仕事ができる」という価値は、AIによって平準化され、相対的に低下していく。その代わりに重要になるのが、「誰がやっているか」という人間性や個性だ。AIが同質のサービスを瞬時に生み出せる時代だからこそ、作り手の「語り(ナラティブ)」がユーザーの信頼を勝ち取る上で決定的な要素となる。川邊氏は、個人のニッチなニーズや妄想から生まれたサービスこそが、AIにはない付加価値を持つと述べた。

6月にLINEヤフー会長を退任する川邊氏。退任後はAI関連の事業で起業する

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