アプリ×1stPartyデータで実現 ARUTANAが拓くリテールメディアの新機軸

最終消費者の購買をはじめとする1stPartyデータが蓄積されるリテールメディアは、マーケターの関心も高い一方で、その活用方法に悩む声も少なくない。このリテールメディアの中でも新機軸を打ち出しているのが、小売チェーンと顧客をつなぐ「アプリ」という接点だ。DearOneのリテールメディアネットワーク「ARUTANA」は、購買意欲が高い生活者が集まるアプリを基盤に、オウンドメディアとしての役割と1stPartyデータを組み合わせることで、購買に近い広告配信を可能にする。本記事では、ARUTANAが提示するリテールメディアの新しい可能性に迫る。

(左から)リテールメディア部 メディアプロデュースグループ デマンドユニット 藤本 あきほ氏、リテールメディア部 メディアプロデュースグループ ゼネラルマネジャー 塚田 康太氏

(左から)リテールメディア部 メディアプロデュースグループ デマンドユニット 藤本 あきほ氏、リテールメディア部 メディアプロデュースグループ ゼネラルマネジャー 塚田 康太氏

群雄割拠の日本の小売り リテールメディアに「分散」の壁

世界的にリテールメディア市場は急成長を遂げている。米国・ウォルマートのリテールメディア事業「Walmart Connect」では、2026年度第4四半期(2025年11月~2026年1月期)において前年同期比41%増を記録した事例も報告されている。日本国内においても、2028年には市場規模が1兆845億円に達するという予測もあり(CARTA HOLDINGS /デジタルインファクト調べ)期待は大きい。

しかし、日本には米国とは異なる小売市場の構造的な課題が存在する。米国の小売市場が大手による寡占状態であるのに対して日本国内、特にスーパーマーケットなどの小売市場は、小規模な企業が集合して市場を構築している「分散型」である点だ。DearOneのリテールメディア事業を統括する塚田康太氏は、この現状を次のように指摘する。

「海外であればひとつの小売企業に予算を投下するだけで、認知から購買までを一気通貫で獲得できる世界が実現できています。しかし、日本では同じだけのリーチ量を獲得するために、数十社の小売に個別に声をかけなければならないケースも珍しくありません。リテールメディアに対し広告主の皆さまが求めていたのはID-POS連携による購買実績の可視化でした。しかし現実は、各社ごとに配信枠や入稿規定、計測データがバラバラで、統合的な効果検証ができない。結果として、手間がかかる純広告と同じ扱いをされ、最終的なリーチの規模を理由に予算検討から外れてしまうのです」。

リテールの枠を超えた規模感とロイヤル顧客へのリーチを両立

こうした分散型の課題を解消し、日本のリテールメディア市場を進化させる存在として期待されているのが、DearOneの提供する「ARUTANA」だ。リテールメディアに当初抱いていた期待に応えられる規模と効果の可視化を実現し、活用にあたっての使いづらさを解決すべく開発された。

「ARUTANA」は、複数の小売企業が提供する公式アプリをネットワーク化し、一括で広告配信やレポート作成を可能にするアドプラットフォームである【図表1】

図表1 ARUTANAの仕組み

図表1 ARUTANAの仕組み
ARUTANAへ広告出稿するだけで、複数のリテール公式アプリに一斉広告配信が可能。2026年5月時点で累計5120万MAUに達している。

なぜ「アプリ」なのか。そこには日本市場独自の特性と、他のデジタル媒体とは一線を画す「顧客の質」がある。塚田氏は日本市場の現状をこう説明する。

「日本の日用消費財カテゴリーにおけるEC化率は一桁台にとどまっており、諸外国と比較しても非常に低い。つまり、生活者の購買行動の大部分は依然としてオフラインの実店舗で行われているのが実情です。この圧倒的に大きなオフライン市場での消費者の行動を捉えることができるのが、オンラインとオフラインをつなぐアプリ。オンとオフ双方の購買時点で接点を持てることは、マーケティング活動上の大きな武器になります」。

また、広告主や広告会社と向き合う営業チームに所属する藤本あきほ氏は、「多種多様な種類のあるリテールメディアの中でも、アプリだからこその価値の高さを感じている」と説明する【図表2】

図表2 アプリを利用している生活者の特徴

図表2 アプリを利用している生活者の特徴

「アプリには会員証、ポイント、クーポン、店舗情報が集約されています。そしてこのアプリをインストールし会員登録をして使っているユーザーは、日常的にその店舗で買い物をし、ポイントを貯めているロイヤル顧客です。実際に当社クライアント実績では、アプリユーザーは非ユーザーと比較して、平均購買単価が1.5倍も高い※1という結果が出ています。さらに、アプリ利用者の7割以上が店内でアプリを開いているという実態もあり、購買の瞬間という最も価値のあるタイミングでユーザーと接点を持つことが可能なのです」。

現在、日本のスーパーマーケット、ドラッグストアなどで売上トップ20に入る企業のアプリ保有率は約92.5%に達している※2。一方で、各社単体のアプリではリーチ数に限界があるのも実情だ。

「ARUTANA」はこれらをネットワーク化することで、単一リテールの枠を超えた「規模感」と「ロイヤル顧客へのリーチ」を両立させているのだ。

※1、2 DearOne調べ

「ARUTANA」が実現するデータに基づく横断配信と検証

「ARUTANA」の最大の特徴は、複数のリテールアプリを束ねながらも、入稿規定やメジャメントを統一できる点にある。塚田氏は仕組みをこう説明する。

「各小売企業のアプリに、私たちが開発した広告配信機能を組み込んでいただいています。共通のアドサーバーを介して一括で配信ができるため、広告主の皆さまはひとつのクリエイティブを用意するだけで、複数のリテールを横断した広告配信を容易に実施できます。リテールごとに個別の調整が必要だったアナログな工程を大幅に削減することが可能です」。

配信先も、コンビニエンスストア業界においては市場シェア(連結売上高ベース)の約7割をカバーするネットワークを構築※3しており、ドラッグストアやホームセンター、スーパーマーケットなど、生活者の日常に密着した幅広い業態をカバーしている。

※3 実証実験(PoC)段階の店舗を含む。

さらに、広告効果の検証において威力を発揮するのが、アプリに紐づく1stPartyデータの活用だ。

アプリは会員IDと直結しているため、適切に管理された各種データを活用し、広告接触後の購買傾向を統計的に分析できる。同社では広告に接触したユーザーと非接触のユーザーで、その後の購買率にどれだけの差が出たかという『購買リフト分析』をレポートとして提供【図表3】。従来の「認知が上がった気がする」といった曖昧な評価ではなく、購買リフトの分析で売上への貢献度を可視化できることが強みだ。

図表3 購買リフト分析

図表3 購買リフト分析
※購買率=購買者数÷ユニークユーザー数
※非接触:配信期間中にアプリを開いたが広告は出ていないヘアケアカテゴリ購買ユーザー

ではなぜ、DearOneは小売り業界のアプリをネットワーク化できるのか。塚田氏はその理由を次のように語る。

「私たちDearOneはもともとクーポン配信サービスの提供から始まり、その後、アプリ開発で多くの小売企業の皆さまをサポートしてきました。ここで得た信頼関係が『ARUTANA』の基盤になっています」。

そして「ARUTANA」は単なる広告枠の提供にとどまらない。小売企業にとっては、自社のアプリをオウンドメディアとして活用し、商品情報や独自のキャンペーンコンテンツを戦略的に発信・運用できる基盤にもなるのだ。

薬剤師のいる時間帯で需要のある場に配信

具体的な事例として、「ARUTANA」は購買実績に基づく柔軟なセグメント配信や細かな時間設定が可能なため、購買に一定の条件が求められる医薬品などでも、緻密な戦略をとることができる。

例えば医薬品の場合は症状が出る前に購買に至ることは少なく、また「要指導医薬品」の場合は薬剤師が不在の時間帯には購入できない。加えて、医薬品広告に関する法令・ガイドラインや個人情報保護の観点から、特定の医薬品等の購買履歴に基づいて個人を直接ターゲティングする配信には慎重な対応が求められる。これに対し「ARUTANA」は対象商品を扱う店舗の利用者にセグメントを絞り、さらに薬剤師が在籍している時間帯に限定して広告を配信するといったコントロールが可能だ。このように「買える場所」に「買える時間」にいるターゲットへピンポイントで接触するという、実店舗のオペレーションと連動した配信の実績も生まれているという。

ファイントゥデイのヘアケアブランド『+tmr』でも大きな成果が得られた。認知訴求を目的に大手ドラッグストアや総合ディスカウントストアのアプリ面を活用し、視認性の高いモーダル広告やバナー配信を実施。「対象商品の既存顧客」に加え「1000円以上のシャンプー・コンディショナーカテゴリ購買者」や「ヘアケアカテゴリ購買者」など購買データに基づいたターゲット設計を行ったところ、既存顧客セグメントではROASが9843%という驚異的な数値に到達。市場全体でカテゴリーの売上が18%ダウンしていた需要期外の時期でも、広告接触ユーザーの売上は伸長したという※4。

※4 2025年9月10日~ 11月23日の実績値

「最近ではコンビニエンスストアでの高いシェアを背景に、日常的に手に取りやすいデイリー商材でも広告効果が確認できており、飲料ブランドの配信においてはiROAS(純増ROAS)が166%に到達し、購買率・平均購買額も広告接触によって右肩上がりとなった事例もあります。リーチの規模のみならず、特定の具体的なニーズを持つブランドや、実店舗での配架交渉を有利に進めたい場合にも有用です」と藤本氏は話す。

高い費用対効果を実感した広告主によるリピート利用も多く、「ARUTANA」事業は昨年度比で約250%という急成長を遂げた。

「⁺tmr(プラストゥモロー)」の配信バナー。

「⁺tmr(プラストゥモロー)」の配信バナー。

リテールメディアらしい「三方よし」の活用を加速させる

「リテールメディアは現状では、デジタル広告の世界から見れば、バイイングや入稿、レポーティングなどの過程において、まだアナログな要素が多く残っています。今後はこれを、より買い付けやすく、透明性の高い世界へと引き上げていかなければなりません」と塚田氏は未来を見据える。

「ARUTANA」が目指すのは、単なるアプリ内広告の枠を超えた「リテールメディアのDSP」としての進化だ。アプリ内広告だけでなく、店内外のデジタルサイネージや音声広告などもひとつの管理画面で統合的に扱える世界を構想しているという。

また、リテールメディアならではの“らしい活用”も展望。塚田氏は「例えば広告配信後にアンケートを行い、広告主向けにはブランドリフト調査レポートをお出しし、回答者にはポイントを付与する仕組みなども考えられるのではないか」と語る。

「これは広告主にとっては精緻な調査になり、リテールにとっては広告掲載費による広告収益が獲得でき、エンドユーザーは回答の対価としてポイントが得られる。アプリの仕組みを知り尽くした私たちだからこそ、こうした『三方よし』の企画を形にしていけると考えています」(塚田氏)。

リテールメディアは購買の最後の一押しをする販促メディアとしての価値だけでなく、認知から購買まで一気通貫で支援できる点が強み。購買データという、マーケティング施策の“正解”が集約されるリテールメディアだからこそ、この“正解”から逆算するマーケティング戦略を実現してくれると言えそうだ。

advertimes_endmark

お問い合わせ

ロゴ DearOne

株式会社DearOne

東京都港区虎ノ門3-8-8 NTT虎ノ門ビル4階
広告主向け資料:https://www.dearone.io/arutana/document2/
リテール事業者向け資料:https://www.dearone.io/arutana/document/


この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事