宣伝会議が発行する雑誌『ブレーン』主催のオンライン動画コンテスト「第13回BOVA(Brain Online Video Award)」の贈賞式が5月29日、東京・竹芝で開催された。贈賞式では、受賞作品の映像を上映しながら各賞を発表。オンライン動画部門のグランプリにはセコムの課題への応募作品「シール交換小学生」が、縦型動画部門のグランプリには小学館の課題への応募作品「深夜のペットカメラ」が選ばれた。
BOVAは、オンラインに特化した動画コンテストとして2013年に創設された。今回は昨年新設された縦型動画部門と、オンライン動画部門の2部門で実施。縦型動画部門には208点の応募があり、一次審査で55点、二次審査で25点に絞られた。オンライン動画部門には253点の応募があり、一次審査で86点、二次審査で34点が選出された。
オンライン動画部門グランプリはセコム「シール交換小学生」
オンライン動画部門のグランプリは、セコムの課題「若い人の心がセコムに惹きつけられる動画」への応募作品「シール交換小学生」。大野すみれ氏(電通)、甲斐原天輝氏(太陽企画)が手がけた。
作品では、子どもたちの間で流行する「シール交換」を題材に、不穏な世界観の中で、セコムのステッカーが持つ安心感を描いた。友人が持つセコムシールを欲しがる小学生の会話を通じて、単なる防犯サービスの表示ではなく、安心や誇りの象徴としてステッカーを捉え直している。
審査員のなかじましんや氏は、「子どもたちの間で熱狂的に流行っているシールブームと、セコムのシールを掛け合わせた目の付けどころに、審査員の評価が集まった」と説明。さらに、「人の扱い方、映像、編集のすべてが見事なクオリティだった。企画を表現に昇華していく技術が隙なくできている」と、演出面も高く評価した。
受賞した大野氏は、「コピーライターとして企画しつつ、初めて演出にも挑戦した作品」とコメント。初めて演出コンテを書き、撮影直前までセリフを粘り、子役への演技指導や編集にも一から携わったという。「今までにない汗をかいた感じがして、コピーライターとして続けていくうえでも糧になる経験だった。賞をいただけて自信にもなった」と喜びを語った。
左から審査員のなかじま氏、受賞した大野氏・甲斐原氏
グランプリと接戦、オンライン動画部門ゴールドは「ギャンブルエスケープ」
オンライン動画部門のゴールドには、ギャンブル依存症問題を考える会の課題への応募作品「〖実況〗ギャンブルエスケープ」が選出された。横井優樹氏(博報堂クリエイティブ・ヴォックス)が手がけた。
同作は、ギャンブル依存症の症状をゲーム実況の形式で描いた作品。ギャンブル依存を「脳のバグ」と捉え、本人の意思だけでは抜け出しにくい状態を“無理ゲー”として表現した。
最終審査員の吉兼啓介氏は、「グランプリ作品と3回ほど決選投票をやり直すぐらい争っていた」と明かしたうえで、「これまでのオンライン動画部門とは違う異色の作品」と評価。「ギャンブル依存症から抜け出すというテーマと、ゲーム実況の相性が非常に良かった。『脳のバグ』という発見を『無理ゲー』という表現に定着させている。実況もリアルで、審査員も何度もこの作品に“依存”していた」と話した。
横井氏は、「締め切り1週間前には何もできていなかった。ギャンブル依存症について調べるほど、症状も悩みもたくさんあり、今回は諦めようと思っていた」と振り返る。それでも、当事者や支援者による発信に背中を押され、「自分に何かできることはないか」と制作に向かったという。「日本中にいる、この症状や病気に悩んでいるたくさんの方々に背中を押していただいた」と語った。
