2026年5月10日、宮崎日日新聞の朝刊に30段の新聞広告が出稿された。
そこに描かれているのは1本のヤシの木と「MIHAKOH 100」という道路標示の写真のみ、社名が記されていない。ヤシの木の横に記された二次元バーコードを読み込むと、こんな音声が聴こえてくる。「どうもこんにちは。ヤシの木です。高いところから失礼します…」。そんな挨拶をすると、ヤシの木は独白を続けるのだった。
これは、宮崎県でバスの運行をはじめ、観光開発や都市開発を手がけてきた宮交グループの100周年記念広告。これらのクリエイティブを制作したのは、CD 佐々木宏氏、AD 浜辺明弘氏、そしてCMプランナー 福里真一氏。サントリー BOSS「宇宙人ジョーンズ」シリーズでおなじみのクリエイティブチームである。
この企画は、宮交ホールディングスの渡邊俊隆代表取締役社長が、100周年事業に関して佐々木氏へ依頼を寄せたことに始まる。クリエイティブチームのメンバーはいずれも宮崎との接点を持っていなかった。
「『佐々木さん、そうは言っても、宮崎に来てくださいよ、ね』と、渡邊さん。全日空の宣伝部長時代にお世話になったその人は、100周年イベントなんて自己満足とノリの悪い私に、しびれ切らして仰った。そこで、ADの浜辺明弘君を連れて、宮崎へ向かいました」(佐々木氏)
これまであまり知らなかった宮崎という土地を訪れたクリエイティブチームがまず目を留めたのは、日南海岸沿いや街中に整然と並ぶヤシの木だった。
「その発案は、宮交創業者の岩切章太郎さんだと聞きました。宮崎という大地に絵を描くようにヤシの木を植えていった。その話を聞いて、ふと思ったのが、ナスカの地上絵宇宙人説。宇宙人といえば、ジョーンズ。といえば、福里真一ということで、彼に、1時間ほど、岩切さん宇宙人説を話し、2分ほどのナレーションを書いてもらいました」(佐々木氏)
