「ギャンブル依存症は、脳の病気(バグ)です」 理不尽なループをレトロゲームで描く社会派動画

第13回「BOVA」オンライン動画部門の最終審査で、グランプリ作品と接戦となったのが、ゴールドを受賞した「【実況】ギャンブルエスケープ」だ。制作した横井優樹さんは2019年からBOVAに応募を始め、既に受賞歴もある。今回は4度目の挑戦となったが、BOVAへの応募を続けてきた理由とは。

一人で企画制作から実況まで担当

第13回「BOVA」オンライン動画部門でゴールドを受賞した横井優樹さん(博報堂クリエイティブ・ヴォックス)がBOVAに初めて応募したのは、2019年のこと。2021年には審査員特別賞、2025年には審査員個人賞を受賞している。4回目の応募となる今回は、企画から演出、アニメーション制作、ゲーム実況のナレーションまで、初めて一人で全ての役割を担当した。「自分一人でどこまでつくることができるのか、力量を試す場になりました」と、その制作過程を振り返る。

ゴールドに選出された「【実況】ギャンブルエスケープ」は、一般社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」による課題への応募作品だ。「ギャンブル依存症のイメージを変える動画」というお題に対し、レトロゲーム風のアニメーションを用いて「ギャンブル依存症は脳の病気バグです」というメッセージを軸に表現した。プレイヤー視点でリアクションするゲーム実況を通じて、依存症を一人で克服することの難しさや自分の意思とは関係なく発症してしまう危険性を伝えている。

BOVAオンライン動画部門ゴールドを受賞した「【実況】ギャンブルエスケープ」。

ゲームは日常生活を模したアクションやパズルなど多様なステージが用意されているが、何度挑戦しても途中でスロットの「7」などのモチーフを模した「バグ」に阻まれ、ゲームオーバーになってしまう。

最終的に1人でのプレイではなく2人でのプレイを選択すると、最初のステージに「ギャンブル依存症問題を考える会」に向かうルートが登場。同じ依存症と向き合う人と出会うことで、バグを乗り越えられるようになっていく、という展開だ。

ゲームの「バグ」と依存症を重ねて表現

制作にあたり、まず取り組んだのは情報収集。ギャンブル依存症について当事者が発信する動画やSNSの投稿を片っ端から読み込むうちに、ギャンブル依存症には止める意志の強さとは関係なくさまざまな症状があり、それらを知ってもらうきっかけが必要だと思うようになった。難航したのは、その多様さを3分以内の動画で表現する方法だ。アニメーションを使うことは決めていたが、ひとつのシチュエーションでは、複数の症状を伝えることは難しい。そこで思いついたのが、単一のエピソードではなく、舞台をいくつも切り替えられるゲームとして表現するというアイデアだ。

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