テレビCMの活用に踏み切る際、どのような戦略を持って臨んだのか。今回は新日本電工のCMに迫ります。
※本記事は月刊『宣伝会議』2026年8月号に掲載しています。
鋼の原材料となる「合金鉄」の製造を祖業とする新日本電工。マンガン系合金鉄の国内トップ・サプライヤーだ。合金鉄を製造する際に必要な電力を自前で確保するために始まった水力発電、工場排水の処理技術を応用したアクアソリューションなど、事業領域を拡大し現在5つの事業を展開する。中でも焼却灰資源化事業は、ゴミを燃やした焼却灰を、合金鉄製造で培った電気炉操業技術を用いた専用炉で溶かし、有価金属や天然砕石の代替用として再資源化するもので、投資家からの注目度も高い成長分野だ。
企業広報の場面では「暮らしのどこかで必ず当社の製品に触れている、と語ってきました」と広報IR課長の喜久山琢氏。携帯電話を持っていれば、ゴミを出せば――そのどこかに同社が関わっている。だが、生活者の目に触れにくい事業ゆえに、一般認知度は高くない。この課題意識が、2026年2月に初めてテレビCMの放映を開始する背景にあった。
テレビCM「素材と環境で、ワクワクする未来を。」篇
これまで広告出稿は、業界紙や、同社がクラブパートナーを務める鹿島アントラーズのホームスタジアム内などにとどまっていたが、風向きが変わったのは2025年。同社が創業100周年の節目を迎えた年だ。事業のさらなる拡大、工場勤務者の人員拡充に向け、高校生の新卒採用や若手の中途採用を強化していく必要もあり、認知度向上に向けた企業コミュニケーションに本腰を入れることになった。
2025年にはまず、採用ターゲットとなる若年層に向けラジオCMを開始。その後、親世代向けにテレビCMの制作に踏み切った。「高校生の就職においては、保護者の意向が進路決定に影響します。高校生に寄り添うラジオ番組でのCMに続き、テレビでCMを放映する企業であるという信頼感の醸成を狙い、朝の情報番組のテレビCM枠を活用して、目からも耳からも親世代に情報が入っていくことを目指しました」と喜久山氏。
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