「ばれたら訴えられる」は誤解 新聞記事の無断共有で相次ぐ訴訟、朝日新聞が語る“まず相談してほしい”理由

自社について紹介された新聞記事やウェブ記事を社内で共有することは珍しくない。しかし、コピーやPDF化、イントラネット掲載などの行為は、適切な著作権処理をしないと、多額の賠償につながることがある。

つくばエクスプレスを運営する首都圏新都市鉄道には2023年、新聞記事の社内イントラ掲載をめぐり、日本経済新聞社に約696万円、中日新聞社に約133万円の賠償を命じる判決が出た。愛知県蒲郡市でも、職員用ネットワークで新聞記事を無断共有していたとして、新聞社や通信社が相次いで提訴している。新聞記事を社内で共有する際、どのような行為に許諾が必要になるのか。蒲郡市訴訟にも関わる朝日新聞社 コンテンツ・IP事業本部 IP事業部次長の上栗崇氏に聞いた。

つくばエクスプレスや蒲郡市の事例で問題となったのは、新聞記事の著作権侵害だ。コピーしていない紙面そのものを社内で回覧するだけなら問題にならない。一方、コピー、スキャン、撮影、ネット記事のコピー&ペースト、画面のプリントアウトは複製にあたる。企業や自治体の職場で行う場合、原則として著作権者の許諾が必要になる。

イメージ 裁判

つくばエクスプレスの事例では、新聞記事を社内イントラネットに掲載し、従業員が閲覧できる状態にしていたことが問題になった。2025年には、コンサルティング会社「ジェイ・ウィル・エックス」の社長らが、新聞・雑誌記事を無断で複製し、クラウドや社内メールで共有していたとして、著作権法違反容疑で書類送検された。

蒲郡市をめぐっては、職員用ネットワークで新聞記事を無断共有していたとして、朝日新聞社、日本経済新聞社、中日新聞社の3社が計約4億3500万円、読売新聞東京本社・大阪本社・西部本社の3社が計約6100万円、毎日新聞社が約2200万円、共同通信社が約1140万円の損害賠償を求めている。

「社内だけなら大丈夫」という誤解

こうした著作権侵害の背景には、新聞記事の複製やイントラネット掲載に対する誤った認識がある。上栗氏は「社会全体のコンプライアンス意識が高まり著作権の知識も浸透しつつあるが、いまだに誤った知識や不十分な意識で著作物利用の適否を判断している人は多い」と話す。

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