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AIエージェントに「選ばれる」ためのポジション戦略
瀧本:本連載の2回目で、生活者の4人に1人がすでに「AIショッパー」化しており、購買行動が「DREAMモデルへと移行している実態をお話ししました。生活者がAIと会話をしながら商品と出会い、意思決定を委ねるプロセスが爆発的に浸透する中で、企業側はどのような「勝ち筋」を描き、競合優位性を確立していけばよいでしょうか。
奥山: 非常に重要な問いですね。なぜなら、エージェンティックコマースという巨大なパラダイムには、競合も含めたあらゆる企業が同じスキームに乗っかってくるからです。その中で、自社が「AIに選ばれ」、ひいては「生活者に購買先として選ばれる」ためには、まず自社の業種・業態やアセットを見極めた上での『ポジションの確立』が欠かせません。
この市場には、通信キャリアや巨大ビッグテックのような、経済圏を握る「巨人(ジャイアント)」が存在します。すべての企業が彼らとガチンコ勝負をして勝てるわけではありません。だからこそ、自社はプラットフォーマーとしてデータを囲い込む「巨人」を目指すのか、あるいはその巨人のエコシステムにうまく乗りながら、独自の強み(ユニークな商品力や顧客体験)を発揮するポジションを取るのか。競合や経済圏プレイヤーの動きを俯瞰し、「自分たちの強みをどこに張るか」を戦略的に定義することが大前提になります。
瀧本: 企業の置かれたレイヤーによって打ち手が全く異なるということですね。これを経営戦略に落とし込む際、短期・中期・長期の時間軸ではどのような視点が必要になりますか。
奥山: 考えるべき視点は明確に変わります。まず、今すぐ取り組むべき「短期」の観点では、AIに自社商品を見つけてもらいやすくするAIO(AI検索最適化)対策や、構造化データの整備、AIの文脈に引っかかるブランドストーリーの構築が中心になります。
しかし、「中期(3年程度)」を見据えると、それでは不十分です。経済圏プレイヤーがどう動き、生活者の買い物習慣がどう地殻変動を起こすかを見据え、買い物プロセス全体を自社流にどうデザインし直すかという「戦略的ポジショニング」の視点が求められます。