夏休みは子どもと出社 SHIFTは11日間、伊藤忠は朝型勤務体験、コクヨは「小4の壁」も対象 福利厚生を超える「社内学童」の効果

約1カ月半に及ぶ小学校の夏休みは、共働き家庭にとって子どもの預け先を確保する負担が大きい。保育園から小学校への進学を機に仕事と育児の両立が難しくなる「小1の壁」に加え、公的学童を利用しにくくなる「小4の壁」も指摘されている。さらに近年は、連日の猛暑による熱中症リスクから屋外での活動や外遊びが制限され、「夏休み中の子どもの居場所や過ごし方」そのものが新たな社会的課題となっている。
 
こうした課題に対応するため、自社オフィスに社員の子どもを受け入れ、就業時間中にワークショップや職業体験を提供する企業が出てきた。
 
取り組みは、預かり場所の提供にとどまらない。子どもが親の働く場所や仕事を知り、社員が講師や運営者として参加することで、家族の企業理解や社員同士の交流、会社への愛着につなげる。福利厚生とインターナル広報の両面を持つ施策となっている。

11日間、フルタイム勤務をカバー

ソフトウエアテスト大手のSHIFTは7月21日と8月3~7日、17~21日の計11日間、SHIFTグループ社員の小学生を対象とする「シフトモKidsサマースクール2026」を実施している。

開催時間は9時から18時15分までで、保護者のフルタイム勤務時間をカバーする。麻布台の本社と新宿第1オフィスを会場とし、参加費は無料。2026年は約36講座を提供する。

同社は2021年から取り組みを続けており、エンジニア、営業、コンサルタント、バックオフィスなどの社員が、自ら企画や運営、講師を担う。

「シフトモKidsサマースクール2025」実施風景

「シフトモKidsサマースクール2025」実施風景

2026年のテーマは「AIと共存共栄」と「人間らしさを育む」。AIリテラシーやAIアバター、ブロックでまちづくりするアジャイル開発など、IT企業の知見を活かした講座を設ける一方、演劇、音楽、工作、ダンスなど、身体や人とのコミュニケーションを重視したプログラムも実施する。

中学生以上の社員の子どもは「ジュニアクルー」として運営に参加できる。子どもを一方的に預かるのではなく、年齢に応じて運営側へ回る仕組みも用意した。また外出プログラムとして、都庁の職員食堂でのランチやミュージアム見学、科学館でのプラネタリウム見学なども予定する。

子育て中の社員にとっては、夏休み中の預け先になるだけでなく、「SHIFTで働いているからこそ、子どもに特別な体験を届けられる」機会になる。講師となる社員にとっても、自分の知識を子どもに伝える過程で、説明力や相手の立場で考える力を磨く場になる。さらには会社への誇りや愛着を深める狙いもあるという。

伊藤忠流「朝型勤務」を子どもも体験

伊藤忠商事は2023年から、毎年8月に「ITOCHUこども『どまんなか』WEEK」を設け、職域学童「I-SUMMER SCHOOL」を実施している。2024年からは春休みの「I-SPRING SCHOOL」も開始した。

同社は長期休暇中、東京本社内に学童保育の場を設ける。子どもは伊藤忠商事独自の朝型勤務を体験し、朝型勤務者向けに用意された軽食から朝食を選ぶ。職業体験やSDGs、社会貢献に加え、同社の歴史やグローバル事業について学ぶプログラムも実施している。

2023年の初開催時には、小学1~4年生を対象に、約100種類の軽食から朝食を選ぶ体験や、琵琶湖のヨシを使った名刺、模擬献血、海洋廃材を使った工作などを提供した。ドローンによる血液製剤輸送の実証実験も紹介し、商社の事業を子ども向けに伝えた。

こども「どまんなか」WEEKでのドローン撮影の様子(伊藤忠商事 ESGレポート 2025より)

こども「どまんなか」WEEKでのドローン撮影の様子(伊藤忠商事 ESGレポート 2025より)

夏休みに加え、2024年からは春休みにも職域学童を実施。従業員の子どもだけでなく、近隣小学校の児童も受け入れており、参加者は延べ約580人に上る。同社は、家族が会社への理解を深めることで社員の働きがいを高めるとともに、多様性を受け入れる職場風土の醸成にもつながるとみている。

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