「肉球」が広告になって世界へ 花王のかわいい戦略が生まれた裏側とは

肌に「ぺた」とあてて、ボトルを押すと「ぽん」と肉球の形に日焼け止めが出てくる花王の「ビオレ キッズスタンプUV」が売れている。子どもの使いやすい設計が受けているだけでなく、訪日観光客やインフルエンサーにSNSで取り上げられて爆発的な人気となり、販売数は当初計画の倍以上に達した。この時期、日焼け止めを親が塗るのは手間がかかり、子どもが嫌がるケースも多く、かといって紫外線の強いこの時期に日焼け止めは必須であり、親子ともに負担となっている。その負担をクリアし、肉球そのものが広告となった花王の「肉球戦略」は、どのように生まれたのか。

写真 ビオレ キッズスタンプUVと泡スタンプ

もともと花王のブランド「ビオレ」は、新たな市場の創造を志向してきた歴史がある。1980年から洗顔料や液体ボディソープでせっけんからの転換点をつくり、シート状のメイク落とし、汗のべたつきを解決するボディシートなどを次々と世に出し、市場の需要に応えてきた。こうした生活者の不満を解決してきたビオレが挑んだのが、「嫌がる子どもが塗りたがる日焼け止め」だった。

年々、暑さが厳しくなり、紫外線量や日焼け止めが気になるところだが、同社の調べによると、日焼け止めの使用率は行動範囲の広がる3歳から急激に下がり、子どもを持つ母親1400人に調査したところ、3歳で72%だった使用率は6歳で44%にまで下がった。また、使用頻度も、3歳では「週に6日以上塗る」との回答が最多だったが、6歳では「週に2、3日」という回答が最多になった。

「親と密接に過ごすベビー期であれば親がすんなりと塗ることができるが、3歳から就学までの年齢のお子さん相手に苦労されているようだ」と同社スキンケア事業部の松本春希氏。その証拠に、同社の調査で日焼け止めを塗らない理由を問うたところ、「子どもが塗るのを嫌がるから」という理由が最多に。外出前に嫌がって暴れる子どもに日焼け止めを無理強いして塗ることは至難の業で、親子ともにストレスになる。とはいえ、WHO(世界保健機関)が公表している「生涯で浴びる紫外線の半分を18歳までに浴びる」といわれる状況では、日焼け止めを塗らないわけにもいかない。こうした実情から、「子どもが自分で塗れるようになれば」と考えたという。

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