シャープは8月17日から、自社製品のデザインをテーマにした展覧会「シャープデザインのまなざし展」を開催している。洗濯機、テレビ、ドライヤー、トースター、掃除機の5製品を取り上げ、完成品だけでなく試作機や開発資料も公開した。シャープによると、デザインに特化した展示会を開くのは30数年ぶりという。会場はGOOD DESIGN Marunouchi(東京・千代田)で会期は28日まで。
テレビのデザインについて解説するデザイナーの古井翔真氏
テーマは「そのまなざしに、ヒミツあり。」。デザイナーが製品を観察する位置や姿勢を再現したパネルを設置し、来場者が同じ位置から製品を見ることで、どこに着眼し、何を意図して形をつくったのかを追体験できる構成とした。入場は無料で予約は不要。来場者数は約3000人を目標としている。
「数字では語りにくい」デザインを見せる
展示の背景には、普段の製品発表では伝えにくいデザインの価値を、生活者に直接見せたいという問題意識がある。
ブランド戦略本部 総合デザインセンター デザイン戦略グループ参事の和気琢哉氏は、製品の性能であれば「前期比でどれぐらい良くなりました」と数値で説明しやすい一方、「デザインがどう良くなりましたというのは、なかなか語りにくかったり、語る場がなかったりする」と話す。
完成品を一見しただけでは気づかない場所にも、デザイナーが観察を重ねた末の工夫がある。そうした「なぜこの形になったのか」を、製品そのものと開発過程を通じて伝える狙いだ。
企画を後押ししたのが、社内で進むブランド発信の強化だった。2025年12月、総合デザインセンターがブランド戦略本部の傘下に入り、デザインをコーポレートブランド価値の向上につなげる動きが本格化した。
同時に若手デザイナーからも、機能性や使いやすさだけではなく、製品の文脈やストーリーといった「情緒的な価値」にも時間をかけていることを「もっと発信していきたい」との声が上がった。
TVシステム事業本部 デザインスタジオのデザイナー・古井翔真氏によると、友人らから「テレビのデザインってどこをデザインするの?」と聞かれることがあったという。家電量販店の売り場を見ても、テレビは画面以外の部分が商品説明のPOPなどで埋め尽くされ、「画面しか見られないような状況」と感じていた。
一方で、テレビのデザインは各社で着眼点やこだわる部分が異なる。シャープのデザイナーも、機能性や使いやすさだけでなく、製品の文脈やストーリーといった「情緒的な価値」に同じくらいの時間と熱量をかけている。しかし、そうした違いは完成した家電を店頭で見るだけでは伝わりにくい。
古井氏は、デザイナーとして違いを理解してもらいにくいことに苦悩があったかを問われ、「そうですね」と認めた。


