花王は、化粧品の需要計画立案を支援するAIエージェント「Kao-MIKOMIL(みこみる)」を開発した。2026年7月から化粧品ブランド「KATE」に導入しており、今後は他の化粧品ブランドにも順次展開する。需給計画の精度を高め、2027年までに化粧品事業の製品在庫を2024年比で約25%削減する考えだ。
「Kao-MIKOMIL」は、自社開発の需要予測モデルが過去の販売実績などから算出した予測値をもとに、販促計画や販売チャネル、価格といった施策情報を反映。需要計画案と、その判断根拠を担当者に提示する。
従来は、デジタル戦略部門のデータサイエンティストと事業部門の担当者が、類似商品の販売実績や過去の販促施策、発売時期などを読み解きながら需要計画案を検討していた。AIエージェントの導入後は、事業部門の担当者が提示された計画案と根拠を確認し、部門間で調整した上で最終的な実行計画を決める。
対象は既存商品だけでなく、販売実績のない新商品も含む。AIに判断を委ねるのではなく、計画案の作成と根拠の整理を担わせ、人が最終判断する体制とした。これにより、計画立案に要する時間の短縮や判断根拠の明確化、業務プロセスの効率化を図る。
開発にあたっては、データサイエンティストが事業部門に常駐。需要計画を立てる現場の課題や実際の運用を把握し、中長期で活用できる仕組みを設計した。まずはKATEで計画精度や業務効果を検証する。
花王は現在、事業、生産、物流、販売のデータをつないだ戦略的S&OP(Sales & Operations Planning)を推進している。一部の限定品を除く全商品について、約18カ月先までの月次予測と、約6カ月先までの日次予測に基づいて生産計画を策定。今回のAI活用により、適正在庫の実現と欠品などによる販売機会の損失削減を進め、サプライチェーンの効率化とROIC(投下資本利益率)の向上につなげるとしている。


