人口減少下でも企業成長は可能か ガートナーが挙げたAIエージェント活用の現実

ガートナージャパンはこのほど、「日本における未来のデジタル・ワークプレースのハイプ・サイクル:2026年」を発表した。デジタル・ワークプレースとは、従業員のデジタルエクスペリエンスとエンゲージメントを高めることを目的に、単なるツール導入にとどまらず、「働く環境の設計」そのものを見直し、柔軟な働き方を実現する戦略的なアプローチを指す。

ガートナーが提唱するハイプ・サイクル、つまり特定のテクノロジーやアプリケーションの成熟度、採用状況、社会的な注目度を時間の経過とともに示し、その将来性を評価するためのフレームワークを用いて、AIエージェントやノーコード・ビルダー、AIワークスペースなどデジタル・ワークプレースに関するテクノロジーの未来を予測した。

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労働力不足でAIエージェントが加速、ピークを迎える

今回の発表の背景には、少子高齢化による労働力不足や人材の流動化といった日本固有の社会課題がある。ディレクター アナリストの林宏典氏は「急速に進化するAIは、生産性を大きく向上させ、人材不足を緩和すると期待されていますが、同時にイノベーションの促進にも貢献する」と分析。2026年8月現在、主なトレンドとして、ガートナーは以下の3点を挙げている。

1点目は「AIエージェントの急速な進化と浸透」である。主要ベンダーは自律性のより高いテクノロジーを開発するとともに、その適用範囲をオフィス・ワークから工場・店舗などフロントラインへと拡大しつつある。エージェント型AIは「過度な期待のピーク期」に差し掛かる。

2点目は「ビジネス部門がテクノロジー活用の主体に」なりつつある兆候だ。SaaSの普及やノーコード・ツールの進化、IT部門の人員逼迫を背景に、ビジネス部門がAIを主体的に選定・活用する流れが本格化している。ただし、シャドーAIなどのリスク増大という新たなガバナンス課題も生じている。

3点目は「多様な人材の活用」である。日本の大手企業が従来の「新卒中心の長期雇用」から、内外の人材を機動的に活用する方向へシフトしつつあり、デジタル・ワークプレースには中途入社スタッフのオンボーディングや社外アルムナイとの協業など、多様な人材の支援が求められている。

AIエージェントの推進が採用の求心力に

ガートナーは、人口減少時代における企業競争力の維持・向上において、エージェント型AIとAIワークスペースが特に重要なテクノロジーであると指摘している。また、組織開発・社内人材マーケットプレース・AI支援型スキル管理は、企業と個人がより対等で柔軟な関係を築く未来の組織実現において中核を成すとしている。

アナリストの林氏は「日本企業は若手人材の不足に直面している。AIなど最新技術でデジタル・ワークプレースを強化し生産性とイノベーションを高めることが、人口減少下での企業成長に不可欠である。その成果を従業員に還元することで、優秀な人材の確保・定着も実現できる」とコメントを残している。

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