【姿勢編】2025年と2026年でクリエイティブディレクションはどう変わったか

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昨年度に引き続き、今年度も9月から「クリエイティブディレクション講座 藤平達之クラス」を開講させていただくことになりました。

個性を磨くクラスというよりは、いわば「基礎練」をするクラスです。広告会社のクリエイターでなくても実務に活用できる「クリエイティブな思考法の基本的な土台」を中心に扱います。

構成はほぼ昨年度と同様で、コンセプトやディレクションの中心を定める「定義」、それを表現や体験にする「実装」、そして創造的に仕事を進めるための「姿勢」の3部(全8コマ)になっています。

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という “番宣” を背景に、今回も、「生成AI」の進化・浸透で、定義・実装・姿勢のあり方(=働き方)がどう変わったかを、生成AIを “中くらい” 使っている自分の実体験から考えてみたいと思います。最終回は、仕事の進め方=「姿勢」における変化についてです。

「FDE(前線配置エンジニア)」から何を学ぶべきか

AI時代の新しい職種として、クライアントの現場に入り込み(常駐し)、AIを活用して課題整理・設計・実装・運用・改善を一気通貫で担うエンジニアである「FDE(Forward Deployed Engineer:前線配置エンジニア)」が注目されているそうです。

FDEが提供するのは、理解度・時間軸・温度感・ミッション・現場感覚などの「ズレ・遅れがないプロジェクト推進環境」だと感じます。

たしかに受発注は、あらゆるズレ・遅れが発生しがちな構造です。この構造的課題を解決するために、クライアントの中に入ることは合理的だと思いました。AIが組み合わさるとなおさらです。

「なんでこんなに時間がかかるの⋯?」「なんでそんなことも分かってないの⋯?」そんな風に思われる関係性では、いいものは作れない。

そこで、いいクリエイティブディレクションのためには、プロジェクトのあらゆるズレ・遅れを最小化する姿勢が必要であると感じ、FDEのあり方をスタディしながら、試行錯誤をしています。

その状況で「片手で握手、片手でビンタ」する姿勢

では、ズレ・遅れがなくなって、クライアントと同期した「内部の人」になれたら、自ずといいクリエイティブディレクションができるのでしょうか。

(今のところ)そうとは限らないと思います。目指すゴールは、その状態になった上で「思いもよらなかった視点」を提供できるか。

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「片手で握手、片手でビンタ」。10年近く前、あるクライアントの方にいただいた言葉です。その言葉はこう続きました。「勉強熱心でいてくれることは嬉しい。けれど、あまり染まらないでほしい」。

「真面目にふざけてほしい」。別のクライアントの方の言葉です。内部ではなく外部に軸足がある以上、どこまでいっても求められるのは「同じ景色を見て生まれた違う意見」だなと実感しました。

同じ景色を見るために、違う意見を差し出すために、AIができることは、実はまだすごく少ないと思っています。景色はスクリーン以外の場所にも広がっているし、意見はその個人からしか生まれないからです。

確かに、提案を先走って「まず同じ景色を見る」ことが疎かになり、AIによって「見た気になる」ことも増えてしまった気がします。ここは肝に銘じないと、「ふざけたビンタ」をする外野になってしまいます。

As a Sei-katsu-sha, For The Sei-katsu-sha

最後に、プロジェクトを運営する姿勢以上に大事なのは、違う意見を持つために普段から違う景色を見ておく/知っておくことです。自覚的に、人間らしく生活することの重要性はあちこちで指摘されていますが、私は「日々AIと話すこと」も同じくらい大切だと思うようになりました。

新聞の一面を見る。背景を聞く。はじまりを問う。
街でふと何かを思う。持論をぶつける。異論を受け止める。
今日の日記を書く。AIのリアクションを見る。アドバイスを取り入れてみる。

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そんな “AIをまとった生活” は、生活者のためにクリエイティブディレクションをする姿勢につながります。「業務で分からないことを聞くのがAI」「何かをまとめてもらうのがAI」というところから脱却できたのも、この1年だった気がします。

講座の「姿勢」パートでお伝えするのは、プロジェクトでの、生活者としての、という2つの姿勢。“AIをまとった私” が、私らしく価値を提供し続けるための姿勢、と言えるかもしれません。

定義・実装・姿勢と3回書いてきましたが、AIによって「何かが失われた」というよりは、「これから何が大切になるか」がむしろクリアになってきたなと感じたのが、2025年から2026年の変化でした。

そしてそれは、意外にも普遍的な所作なのではないかと思います。だからこそ、足腰になる基礎力は大事だと信じ、引き続き現場で頑張る所存です。

クリエイティブディレクション講座 藤平達之クラス 概要

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開講日 2026年9月24日(木)19:00~21:00
講義回数 全8回
開催形式 教室(表参道)開催
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藤平 達之

博報堂/SIX
クリエイティブディレクター/ストラテジスト

1991年生まれ。一橋大学卒業後、2013年博報堂入社。クリエイティブブティック・SIX、官民共創クリエイティブスタジオ・Vegaにも所属。「愛される/尊敬されるブランドを社会に増やす」という目標を持ち、パーパスと生活者発想の両視点から設計したコンセプトを、広告/コミュニケーションに留まらず、サービス/プロダクト、コンテンツやインナー活性化プログラムなど、さまざまな手法で体験にする。これまでに「ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS 総務大臣賞/グランプリ」などを受賞。ad:tech tokyoなど登壇の実績も多く、自著に『クリエイティブなマーケティング』(現代書林)がある。 好きなものは、串揚げとジンとクッキー缶。

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