「私はこう使う」というリアリティ 女性誌「ハルメク」の50~60代インフルエンサーによるSNS投稿が支持されるワケ 

女性誌「ハルメク」を発行するハルメクと、シニアマーケティングを支援するハルメク・エイジマーケティングによる、50代以上の女性を中心としたインフルエンサー事業が急成長している。
 
「HALMEK up アンバサダー」は、料理、美容、ファッション、健康、旅行など幅広い情報をInstagramで発信するインフルエンサー組織。企業の商品やサービスを実際に体験し、自身の暮らしにどう取り入れるかを、自分の言葉で紹介する。
 
2025年11月のスタート時に35人だったアンバサダーは、2026年9月時点で144人に増加。SNSの総フォロワー数も、8月5日時点で500万人を突破した。営業現場でも、雑誌やWebメディアに加え、SNSマーケティングまで一体で提案できるようになったことが、新たな案件の獲得につながっている。
 
これまでの取り組みやサービスの特長について、ハルメク・エイジマーケティング 新規事業開発部の伊藤睦輝担当部長に聞いた。
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伊藤睦輝 氏

ハルメク・エイジマーケティング 新規事業開発部 担当部長

楽天にてECコンサルティングおよび新規事業開発に携わったのち、スタートアップで教育系サービスの立ち上げを担当し、事業を主力領域へと拡大。現在はハルメク・エイジマーケティングにて、50代以上のオトナ女性を中心としたインフルエンサーマーケティングの新規事業を統括。同世代の共感を起点に、企業と生活者をつなぐ新しいマーケティングの形を推進している。

「50代の発信者」でも50代には届かなかった

事業立ち上げの背景には、50代以上の女性におけるSNS利用の拡大がある。

「ハルメク 生きかた上手研究所」の調査によると、2025年の50代以上女性のSNS利用率は41.5%。2022年と比べ約1.75倍に増えた。中でもInstagramは約3人に1人が利用する規模まで拡大している。さらに、SNSをきっかけに商品の購入やサービスへの申し込みなどの購買行動につながった経験がある人は、50代で78%、60代で70%に上った。

50代からの女性をメイン読者とする雑誌「ハルメク」の販売部数は45.9万部(日本ABC協会が発表した2025年下期〔7月~12月〕)と圧倒的な支持を誇る。これらを背景に、シニア層向けの通販事業などにも注力している。

写真 人物 伊藤氏

同社はシニア層が徐々にSNSを使い始めていることを受け、活用を模索していた。当初は外部のインフルエンサーサービスを利用し、自社商品のSNS施策を試していた。

しかし、発信者本人が50~60代でも、フォロワーが同世代とは限らないという課題があった。50~60代女性を起用しても、若年層や男性のフォロワーが多く、狙った層に届かないケースがあったという。「当社のおせちを外部インフルエンサーに紹介してもらった際も、閲覧者の中心は30~40代だった」と伊藤氏は振り返る。

そこで同社は、自前でインフルエンサー組織をつくる方針に切り替えた。自社の読者などから希望者を募る一方、Instagram上でも50~60代の発信者を探し、候補者を審査してスカウト。発信者本人の年齢だけでなく、フォロワーの年代も確認しながらネットワークを広げていった。候補者探しの多くは人の目で行う、地道な作業だったという。

外部販売に先立ち、自社のおせちで投稿をテストした。すると、同世代の女性が持つ日常の悩みや価値観を起点にした投稿が生まれた。

あるアンバサダーは、家族のおせちを用意していると自分は最後に残った料理を食べる「残り物担当」になりがち、という自身の経験を紹介。そのうえで、1人前ずつ重箱が分かれたハルメクのおせちなら、それぞれが好きな料理を楽しめるという価値を伝えた。

動画自体も若者向けの短尺動画とは異なり、ゆったりとしたテンポで暮らしを見せる内容だった。

こうしたテストを通じて、2025年11月に企業向けサービスとして本格的に展開を始めた。同社の比較では、通常のインフルエンサー施策で45歳以上へのリーチ割合が33%だったのに対し、「HALMEK up アンバサダー」では84%に達した。45歳以上へのリーチ効率は2.5倍だった。

資料 同世代にしっかり届くリーチ力

商品を「説明する」のではなく、暮らしに落とし込む

投稿内容にも、若年層を中心とした一般的なインフルエンサー施策とは違いがあるという。

伊藤氏は「商品を持って特徴を説明して終わるのではなく、自分のライフスタイルの中に商品を溶け込ませて、『私はこう使っています』と丁寧に紹介する方が多い」と説明する。

50~60代では、「ファッションだけ」といった特定ジャンルの「プロインフルエンサー」は多くない。一方で、料理や住まい、ファッションなど生活全般を発信し、「こういう暮らしがしたい」「こういう年齢の重ね方がいい」といった共感や憧れによってフォロワーを集めている人が多いという。

伊藤氏は「いわゆる“ザ・PR”になりにくく、商品が暮らしの中でどんな価値を持つかまで見せられる。コメントや『いいね』などの反応だけでなく、投稿を広告として配信した際のCTRでも評価いただくことがある」と話した。

料理、美容、ファッション、健康、旅行など幅広い情報をInstagramで発信する「HALMEK up アンバサダー」

投稿後にも「同世代の目」で評価

ハルメクならではの強みとしているのが、投稿した後の評価まで行う点だ。

同社は、約6200人のモニター「ハルトモ」のうち、Instagram利用者にPR投稿を見てもらい、好意度や理解度を調査している。「商品を調べてみたいと思ったか」「店頭へ行ってみたいと思ったか」など、投稿を見た後の意識変容も確認。「いいね」やコメント、リーチ数だけでなく、ターゲットが投稿をどう受け止めたかまで検証する。

調査結果は企業へのレポートだけで終わらせず、次の投稿企画にも反映。「こういうクリエイティブなら反応が良い」「次回はこの訴求を強める」といった知見を蓄積し、運用を改善している。投稿動画の簡易定量調査は基本メニューにも組み込まれている。

オールターゲットの商品でも活用

健康食品や白髪染めなど、プレシニア/シニア向けの商品案件もあるが、現在は幅広い年代を対象とする食品や日用品の相談も増えているという。

若年層からシニアまで幅広く購入するオールターゲットの商品でも、50~60代を重要な顧客層の一つとして捉え、その世代に合わせて訴求する用途で活用され始めている。

伊藤氏は「既存のクライアントだけでなく、初めて取引する企業からの相談も多い。特に大手企業が多い印象がある」と話す。現在は広告主との直接取引が中心だが、広告会社経由の引き合いも徐々に増えているという。

伊藤氏は今後、単発のPR投稿にとどまらず、アンバサダーを商品開発の段階から巻き込むことや、一般生活者まで含め100人規模で発信する施策などへの拡張も視野に入れる。

「目標としているのは、50~60代女性のトレンドが生まれるきっかけをつくれるサービス。アンバサダーと一緒に商品開発からPRまで取り組み、雑誌やWebメディアとも連携しながら、大きなトレンドにつなげていきたい」としている。

お問い合わせ

ハルメクロゴ

株式会社ハルメク・エイジマーケティング

Mail:halmek_koukoku@halmek.co.jp
「HALMEK up アンバサダー」の詳細はこちら

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