コンビニの名札に、本名を出さない――。ファミリーマートが店舗スタッフ向けに導入している「ワーキングネーム」には、働きやすさへの配慮だけではない狙いがある。
背景にあるのが、カスタマーハラスメント(カスハラ)や、SNSを通じた個人特定への懸念だ。実際に本名を出さなくなったことで、働くスタッフにはどのような変化があったのか。同社にカスハラ対策について取材した。
心理的負担を軽減
ファミリーマートが9月に改めて全国の店舗に周知した「ワーキングネーム」は、店舗スタッフがネームプレートに本名以外の名前を表示できる仕組みだ。
同社は導入の狙いについて、「多様性や働きやすさへの配慮に加え、プライバシー保護や防犯、カスハラ防止の観点からスタッフが安心して働ける環境を整えるため」と回答した。
ファミリーマートでは2024年5月から、本名以外の名字を名札に表示できる仕組みを導入していた。
実際に利用するスタッフからは、「心理的負担が減り接客に集中できる」「プライベートが守られ安心」といった声が寄せられているという。同社は「トラブル防止や環境改善の効果を実感している」とする。
一方、ワーキングネームの利用は、従来も現在も加盟店の判断となる。9月に身だしなみ基準を「ファミマコーデ」に刷新したタイミングで、改めて全店に発信した。
SNS上のリスクも認識
なぜ、名札から本名を隠す必要があるのか。
ファミリーマートは2024年9月に策定した「カスタマーハラスメントに対する方針」で、暴言や脅迫、執拗な言動、不合理・過剰なサービス要求などに加え、「個人情報等のSNS/インターネット等への投稿」もカスハラに該当する可能性が高い行為として挙げている。
今回、店舗スタッフの氏名や写真などが実際にネット上で公開された事例の有無について尋ねたところ、具体的な事例や件数についての回答はなかった。一方で、同社は「ネットやSNSでのリスクについては認識している」とした。
ワーキングネームについては、プライバシー保護や防犯面での安全性を高め、より安心して働ける環境を整えるための施策と位置付けている。
