阪急電鉄が「中吊り広告」と決別した真相 全線終了という大胆な決断、需要減少を認めるも真の狙いは別に

かつて鉄道会社の主要な広告収入源として活用されてきた中吊り広告だが、近年はスマートフォンの普及や広告のデジタル化などを背景に、出稿需要の減少が指摘されている。そうした中、大手私鉄の阪急電鉄は10月14日、全線の営業車両で中吊り広告の掲出を2027年4月4日に終了すると発表した。主な理由に挙げたのは車内の快適性向上だが、広告需要の減少も今回の判断に影響しているのか。阪急電鉄に掲出終了の狙いや、今後の車内広告の展開について聞いた。

写真 広告のない車内

中吊り広告に訪れた変化

中吊り広告は、かつて鉄道会社にとって有力な収益源だった。東京都が2008年2月に公表した監査報告書によると、東京メトロでは2006年度の中吊り広告の掲載率が91%に達し、広告収益は約57億8600万円に上った。都営地下鉄でも2001年度の中吊り広告収入は約7億4000万円に上っていた。

車内広告枠の中でも「一等地」とされてきた中吊りは、掲載期間が2~3日と短期集中訴求型が一般的で、その速効性から週刊誌、月刊誌の出稿が圧倒的に多かった。また、新商品発売や催事などのキャンペーンにも活用される。もっとも、近年は雑誌の刊行点数、発行部数の減少に伴う広告需要減のほか、スマートフォンの普及で広告への注目低下も指摘され、逆風下にある状況だ。

中吊りの需要減が顕在化している鉄道会社も少なくない。

神戸市交通局は2025年9月の市会で、2024年度の中吊り含む広告収入は前年度比9%増だった一方、コロナ禍前と比べると15%減少したことを明らかにした。特に中吊り広告や電照看板、駅貼り広告の減少が大きいと説明している。

名古屋鉄道でも、新型コロナウイルスの感染拡大以降、車内広告の出稿減少が続いていたことから、媒体価値を高める取り組みに着手した。2024年10月には、廃棄予定の花を使ったドライフラワーを中吊り広告として掲出する「うえむくとうわむくプロジェクト」を開始。従来の紙の広告とは異なる表現で、中吊り広告の新たな価値を打ち出した。

阪急電鉄も需要減少を認める

 

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