「無関心層を振り向かせる主役へ」――縦型動画とSNSバズの裏にある緻密なクリエイティブ設計

10月9日から開催中の「虎ノ門広告祭2026」では、現代の広告コミュニケーションをめぐる多様なセッションが展開されている。縦型動画とSNS戦略に焦点を当てた2つのセッション、「広告のプロとTikTokクリエイターが縦型動画の法則を解き明かす 縦型広告論争2!」と「令和のSNSバナシ、ここで聞きましょう。〜NOPE、マクドナルド、『あの職員室』に学ぶ〜」の模様をレポートする。

10月11日に開催されたTikTok Japan提供の「縦型広告論争2!」セッションでは、縦型動画プラットフォームが広告コミュニケーションにおいてどのような役割を担うのか、クリエイターと広告会社の双方の視点から議論が交わされた。登壇したのは、TikTok教育クリエイターのラオ先生(多羅尾光紀氏)、小説紹介クリエイターのけんご(紙上健吾氏)、電通Creative KANSAIのクリエイティブディレクター花田礼氏、同じく電通6CRP局プランナーの取越和貴氏、博報堂のCXアクティベーション局の横山昴氏の5人と、セッションMCのワンメディアCEOの明石ガクト氏である。

「おまけ」か「主役」か、縦型動画の位置づけ

最初の議題は「縦型動画はテレビCMの“おまけ”なのか」という問い。広告業界では長らく、テレビCMを主軸としたキャンペーンの補完的な役割としてデジタル施策が位置づけられ、中でも縦型動画はその末端と見なされがちであった。この点について花田氏は、広告業界では作り手の多くが30代以上、広告主の決裁者は50歳前後であることも多いとしたうえで、縦型動画を「ライトすぎてあまり効果の出せないもの」と認識して軽視する傾向もあると指摘した。

しかし、この認識はクリエイターや若年層の感覚とは大きく乖離している。けんご氏は、過去に文部科学省とのタイアップ実績を挙げ、「文科省が“おまけ”を使うとは思えない」と反論。縦型動画を主戦場とするクリエイターが確立されたブランドを築けば、媒体の序列は問題にならないとの考えを示した。ラオ先生も、縦型動画をきっかけに数十万から100万人規模のフォロワーを獲得し、世に知られるようになったクリエイターが数多く存在することを挙げ、もはや「おまけ」ではないと主張した。

この認識のズレは「世代間闘争」の様相を呈しているとセッションでは語られた。若年層をターゲットにする日本マクドナルドなどの先進的な企業は、すでに縦型動画をテレビCMとは異なる「別の競技」として捉え、専用のクリエイティブを開発している。広告業界の旧来的な序列意識が、プラットフォームの進化とユーザーの実態から乖離しつつある現状が浮き彫りとなった。

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