通販の売り上げが初めて50兆円を突破。その牽引となっているのはインターネット通販であり、さらに今後伸びるのは間違いない。また最近は店頭で商品を確認して、購入はネットショップで行うという「ショールーミング」という現象が目立つようになり、リアル店舗で購入してもらうことのメリットを再度定義すべき時期に来ている。スーパーなども「ネットスーパー」サービスを充実させる中で、ネットとリアルそれぞれの売り場がどうあるべきか探って行きたい。第2テーマ「O2Oから見るリアルとネットの融合」の初回は、海外特に米国の最新流通事情に精通している日立コンサルティングの小林啓倫氏に話を伺った。
在庫検索や店での取り置きなどベーシックなことこそ重要!

日立コンサルティング 小林啓倫氏
インターネットと店舗の関係性の変化について、まず最新の海外事情から気になった事案を紹介しましょう。米国のCrossViewという会社の
なのですが、米国の小売業者トップ10社の80%がウェブサイト上からの在庫検索を可能にしている一方で、残りの小売業者は39%しか対応していなかったというデータが上がっています。
これがモバイルサイトからの在庫検索になるとトップ10企業の60%、残りの企業の21%が可能という結果が出ています。また興味深かったのが、「自社ショッピングサイト上で購入すると、配送のほかに近隣店舗での取り置きが可能」というサービスを実施しているのは、トップ10企業で70%、残りは26%という結果が出ていることです。トップ10企業では、ウェブサイト上での在庫検索ができる、ネット配送のほか店での受け取りもできるという、基本中の基本と言えることをしっかりと実施しているわけです。
また海外で注目されているのが「ショールーミング(Showrooming)」対策です。「ショールーミング」については、なぜこういう購入形態が起こるのかというところから考察する必要があると思います。まず一つは価格の問題。分かりやすい例で言うと、例えば高額専門書を購入する際、アマゾンのように中古のものも扱っているオンラインショップがあると、どうしてもリアルな店舗で実物の内容を確認してから安価な方で購入するという行動をしてしまうことは否めません。