店舗の価値あるサービスの発信やリアルな口コミの見直しを
ここで海外の試みを一つ紹介しましょう。Wareyeというメガネのショッピングサイトですが、サイトで掲載しているメガネのうちユーザーが要望すると5タイプのメガネが送られてきて、5日間試着して気に入ったものだけ加工してもらい、残りは返却するというサービスを実施しています。ちなみにここはリアルな店舗も展開しており、店舗で在庫も持っています
結局、 O2Oと言ったときに、もともとはオンラインの顧客をからオフライン(店舗)に誘導するという話だったのが、リアル店舗側がネット上の人たちに「自分たちはバーチャルだけでなく、リアルな場を持っている」ということをどうやって気づいてもらうか、そこにどのような価値を認めてもらうか、そして最終的には来店して商品を手にしてもらえるか、それを考えねばならない時に来ていると思います。
最近の状況で指摘したいことは、リアル店舗の発信力の課題です。実はリアル店舗では、顧客にとって本当に親切な、価値のあるサービスがいくつも実施されています。
例えばあるスーパーで実施している「雨の日配送無料サービス」。文字通り雨の日に配送を無料で行ってくれるという便利なサービスですが、顧客にサービスの実施が伝わっていないので(こういうサービスがあることを顧客が知らないので)、購入活動がオンラインショップに流れていってしまうということがあります。小売店鋪はそれぞれいろいろな価値ある施策を提供しているので、リアル店舗に行く「価値」を顧客に知ってもらうことにもっと努める必要があるのではないでしょうか。リアル店舗の方々は、まだそういった取り組みに無頓着であると感じることがあります。
決済・口コミの仕組みが進化することで今後にさらなる期待
ところで、リアル店舗であることの価値を高める施策という話をしましたが、興味深い海外事例があります。米国スクエア社が提供している顔パス決済サービス「ペイ・ウィズ・スクエア」です。事前にクレジットカード登録などの作業を済ませておくと、店頭で購入する際、お財布不要の文字通り「顔パス」で決済を完了するというものです。こういう施策は、リアル店舗の体験をさらに良好なものに進めることでしょう。こうした施策を通じて「リアル店舗の体験」を従来とまったく違ったものに改善していく必要があると思います。この顔パス決済サービスは、ペイパルの「ペイパル・ヒア」でも計画中で、ソフトバンクと協力して日本でも展開が始まるということが報じられています。
また、店からの発信ということで驚かされるのは、「口コミの大部分はオフラインで起きている」というケラー・フェイ・グループ(Keller Fay Group)の発表です。3万2000人を対象に調査したところ、口コミの91%は、対面か電話越しに行われていて、オンラインを介した口コミは全体の7%だけだったという結果が出ています。今、明らかに過度にバーチャル上の話題作りを重視する傾向がありますが、リアルな口コミこそを見直すことが大事ということが示唆されているのではないでしょうか。
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