シリーズ連載①長く愛されるキャラクターの秘密
絵本シリーズ「くまのがっこう」をご存じだろうか。小さなお子さんをお持ちなら、思い浮かぶ人も多いだろう。2002年に登場して以降、着実にファンを増やしながら成長し、いまや日本を代表する絵本キャラクターとなった。その軌跡をたどる。
普遍性のあるストーリーとデザイン性の組み合わせ
「くまのがっこう」の仕掛け人は、「キャラ研」代表の相原博之氏。絵本の作者「あいはらひろゆき」その人である。
キャラ研の前身は、バンダイ内のキャラクター研究所で、ガンダムをはじめとするテレビアニメのキャラクタービジネスを手がけてきたバンダイが、「オリジナルキャラクターを開発する」ことをミッションに、2000年に新設した部署だ。
当時アサツー ディ・ケイのマーケターだった相原氏は、この新しい部署にヘッドハントされ、バンダイの新規ビジネスを担当することになった。偶然、自身にも子どもが生まれたばかり。子育てを通じて絵本の世界に接したことがきっかけとなって、絵本のレーベルを立ち上げた。第1弾は大人の女性向けに出したものの、サブカルチャー色が強く出てしまい不発だった。
だが、戻ってきたいくつかの読者ハガキの中にヒントを見つける。若い母親たちが「こんな絵本を待っていた」とエールを寄せてくれたのだ。「母親という予測していなかったターゲットを見つけたんです。そこから、働く母親が子どもに絵本を読み聞かせるとき、忙しい毎日の中で、せっかくなら自分も好きな本を読み聞かせたいと考えるんじゃないか…と思ったのが『くまのがっこう』が生まれたきっかけです」。