名和晃平×後藤繁雄×阿部光史「企業とアートの関係を革新するプロデュース」【前編】

【前回】「坂村健×佐々木康晴「IoTが創造するNEW WORLDと、変わる広告会社の役割」【後編】」はこちら

アートと企業(ビジネス)の関係に変化が生まれている。近年「コミッションワーク(委託制作)」と呼ばれる、企業とアートの新しい協働が注目されているが、彫刻家の名和晃平さんもその分野で活躍する一人。今回は、コミッションワークのプロデュースを行う編集者の後藤繁雄さん、安川電機の仕事を通して名和さんとアート作品制作を企画した電通の阿部光史さんの3人が、未来のアートコラボレーションを語った。
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アーティストの売り出し方がドラスティックに変わってきた

阿部:

2015年に100周年を迎えた安川電機さんから、100周年記念の新社屋のパブリックスペースにモニュメントを作りたいとお話がありました。それを後藤繁雄さんに相談し、名和晃平さんを紹介していただいたのがこのトークショーのきっかけです。今日のテーマは「アートを注文する」で、企業とアートの関係を革新するプロデュースについて、話を進めていけたらと思います。

電通 阿部光史 氏

後藤:

90年代終わりぐらいから、コンテンポラリーアートやコレクターの顔ぶれが変わりました。グローバル化が進み、コンテンポラリーアート市場が活性化してきたからです。コンテンポラリーアート市場はグローバルで7兆円近い規模と言われています。アーティストをプロモーションする方法も、これまでの画商が作品を売るビジネスから、ライセンシービジネスや、企業と組み合わせてコンテンツ開発をするなど、大きく変わってきました。しかし、国内には、そうした動きに対応できるコマーシャルギャラリーが開発されていません。そこで、アーティストが企業とジョイントすることでお互いがWin&Winになるような新しい仕組み作りにずっと取り組んでいます。芸能プロダクションならぬ、芸術プロダクションみたいなことをやっているわけです。

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