「売上の何%」という広告費設定はどこから来たのか?ブランドと財務諸表の関係

【前回】「不正取引問題で揺れる「運用型広告」は、人間の知性の無駄遣いか?」はこちら

例えば、筆者が軽井沢でハイエンドなブティックホテルを経営しているとします。中国で軽井沢をロケ地としたドラマが大ヒットし、去年末から外国人宿泊客が激増したため、今年になって「コテージ棟」と銘打ったログハウス3棟を急ごしらえで造設しました。土地の取得費用と建設費用は利益(内部留保)で賄い、借金はしませんでした。

このとき、損益計算書(PL)上は、コテージ棟の建設費がマイナスで計上され、コテージ棟からの新しい収入がプラスで計上されます。ただもちろん、コテージ棟の建設費用をすべてこの年の収入でカバーするのは不可能でしょう。一方、貸借対照表(BS)上は、現金という資産が減って、不動産(土地と建物)という資産が増えることになります。ここは、投資が適切であれば、プラスマイナスがバランスするでしょう。

 

このコテージ棟という新しい資産は、来年以降も継続的に売上を生み続けますし、場合によっては売却することで現金という試算に戻すこともできます。放っておけば、基本的には経年劣化により価値が目減りしますが、メンテナンスによってそれを防いだり、さらに価値を上積みすることができます。軽井沢を舞台にした別のドラマが、今度は韓国でヒットするなどの思わぬ事態によって、経年変化を補ってあまりある価値の上昇が突発することもありえます。

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井上 大輔(OFFICE pianonoki マーケター)
井上 大輔(OFFICE pianonoki マーケター)

OFFICE pianonoki マーケター。
ヤフー 、ニュージーランド航空、ユニリーバでデジタルマーケティングの責任者を歴任し現職。advertimesコラムニスト。
ツイッター:@pianonoki
著書に「デジタルマーケティングの実務ガイド」

井上 大輔(OFFICE pianonoki マーケター)

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