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コラム

コピーライター養成講座 講師・卒業生が語る ある若手広告人の日常

コピーライター 谷山雅計さんに聞く教育論「コピーライターはどう育てるのか?」

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[寄稿者一覧はこちら]

【前回のコラム】「「流行っている言葉を使うのがコピーライティングで一番危険」谷山雅計さんインタビュー」はこちら

今野です。このコラムはお笑い芸人である僕が、「宣伝会議 コピーライター養成講座」を受講して、そのレポートを書くという内容です。前回に引き続き、コピーライターの谷山雅計さんへのインタビューをお届けします。今回は「広告の教育」や「宣伝会議賞」についてお聞きしました。

教育とは、影響されない部分を外に出すこと

今野:「お笑い」の養成所では、教育ノウハウの蓄積や、Youtubeなど動画サイト、DVDへのコント収録によるネタのアーカイブ化が進み、お笑いを研究することが昔より容易になりました。そのおかげで養成所でも、クオリティの高いネタをつくる生徒が現れたりするのですが、その反面で「どこかで見たことのあるネタ」も多くなっているように思います。コピーライター養成講座はじめ「教育」によって失われるものはあると思いますか?

谷山:自分は「こういう書き方をしなさい」「レトリックをこういう風に使いなさい」「句読点はこうです」といった、型にはめることは全く教えないわけですよ。授業に限らず、これまで書いた2冊の本でも「こうすれば明日からコピーがすぐに上達します」というテクニックやコツはほぼ教えてない。

僕が教えていることは、広告をつくるためには誰しもが必要とする基本的な考え方と、今よりも頭が良くなるための手法など、鍛錬の方法を教えているつもりなのです。

それが何のために必要かと言うと、必ず人間はどんなに教えても影響されない部分、教えることができない部分というのを持っています。でも、それはきっと気づかせないと出てこないから、それを外に引き出すために教えるということをしています。

例えば、照井晶博くんや井村光明くんといった、僕と濃密に時間を一緒に過ごして、向こうも僕のことを師匠だと思っているコピーライターがいます。彼らには全く同じことを教えているのだけれども、照井くんと井村くんが同じような制作者かというと全然タイプが違う。

それは、僕が広告の根本だけを教えているからです。元々、照井くんが持っていたもの、井村くんが持っていたものが、教育によって外に出ると全然タイプの違う制作者になる。

今野:影響されない部分を教育で出す、というのは「理想的な教育だな」と思いました。

谷山:教育によって一人ひとりが元から持っている良いものが出てくれば最高なんだよね。尾形真理子さんにもいろいろと教えたのだけど、彼女が書いているコピーは僕と似ても似つかないでしょ(笑)

尾形さんが書くルミネのコピーを見て、「彼女が持っていたものはこれだったのか」と逆に驚いたりもするんです。これは尾形さん自身も話していることらしいけど、ルミネのコピーを書いているため、ロマンチックなことが好きな人だと思われがちだけど、元々コピーを教えていたのは私や斉藤賢司くん。齋藤くんは、僕と似たタイプのコピーライターで、ガチガチにロジカルなんですよ。そういうロジカルなタイプのコピーライターの教えを受けた人の中から、尾形さんのようなコピーライターが出るというのも面白いよね。

次ページ 「新しくなった宣伝会議賞」へ続く