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【ワカテの方が、ワカッテる?】ADK「相棒採用」が学生の心を掴んだ理由

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今年で5回目の開催を迎える「広告業界の若手が選ぶ、コミュニケーション大賞」(ICA)。「ワカテの方が、ワカッテる」をコンセプトに、30歳以下の若手が注目するコミュニケーションを見出し、次世代を担っていくコミュニケーションとして広告業界に投げかけていくものです。

これから全4回で、ICAの審査員を務めるワーキンググループのメンバーが関連する記事をお届けします。

初回は昨年度大賞を受賞したアサツー ディ・ケイの「相棒採用」がテーマです。
「相棒採用」をICAに推薦した棚橋直生さんが、施策実施の担当者であるアサツー ディ・ケイの齊藤安司さん、安本一優さんへインタビューを行いました。内定受諾率を前年度比27%も改善した新しい採用コミュニケーションの裏側に迫ります。

“あたりまえを疑う”、役員から現場まで共通した思いからのスタート

棚橋:アサツー ディ・ケイで2017年度の採用活動から始まった「相棒採用」という取り組みについて、改めて内容を教えてください。

安本:就活に応募する学生が「この人と働いてみたい!」と感じる社員を探して指名し、そのまま選考を受けることができる制度です。「相棒社員」候補として、のべ110名の社員が採用サイト上に登場し、職種や社会人歴、勤務地などのプロフィールから検索できます。加えて、1人1人がインスタグラムのアカウントを持ち、リアルタイムで反映される日々の画像投稿から通常の社員紹介ページでは見ることのできないリアルな姿を伝えました。

各社員のプロフィールページからは直接会えるイベントへの申し込みが可能で、気になった社員と実際に話すことができます。その上で「この人と働いてみたい!」と感じた社員を相棒社員候補として指名すると、指名を受けた社員が学生の一次選考を担当し、さらに通過した学生には社員が面接のフィードバックをするなど、相棒社員として学生の応援役になるという流れです。

棚橋:面接官を指名できるという仕組みの導入はかなりチャレンジだったと思うのですが、新しい採用活動を始めたきっかけは何だったのでしょうか?

齊藤:さまざまな方向からの意見が合致して始まったと思っています。担当の役員と次期採用活動についてディスカッションしていた際、有効求人倍率の増加など採用市場が大きく変化するなかで、はたして自社の採用活動は過去の踏襲だけでよいのかという問題提起がありました。

同時に、人事と採用施策を担当するスタッフとの打ち合わせでも、本当にいい採用活動は何かということを繰り返し話していきました。そこから、まずは今までの採用活動の“あたりまえ”を疑ってみよう、という大きな方針が見えてきたんですね。

安本:応募者と採用に携わる社員にとって、よりよい施策にするために、採用広報に留まらず、面接などの選考フローまで含めてゼロベースから考えてみようと。スタートのタイミングで、役員、人事、コミュニケーション施策を考えるスタッフが大きな方針をしっかりと共有できたのはよかったですね。

棚橋:そこから具体的に、「相棒」を選ぶという仕組みはどうやって生まれたのでしょうか?

安本:新卒採用を担当していて強く感じた疑問が、応募期間中は自社の広報を盛大に行うのに、選考開始後は一方的に振るいにかけるといった、広報と選考が分離した現状でした。応募書類を受け付ける段階だけでなく、実際に選考に進む学生といかに向き合えるかが、ミスマッチをなくし、納得して入社してもらう上で重要なのではと考えたのです。

齊藤:そこから議論を重ね、応募者と社員が継続した接点を持ち、選考を通過するごとに、相互に理解を深められればという思いから、学生と社員にとって「未来の相棒を探す場所」として新卒採用を捉えることにしました。

棚橋:なるほど。実は「相棒採用」を推薦した理由が、採用においては一般的に企業側が選ぶものなのに対して、応募者が採用する側を選ぶという逆張りのアイデアが面白かったからだったのですが、そんな背景があったのですね。

推薦者の棚橋直生さん(左)と採用を担当した安本一優さん(中央)、齊藤安司さん(右)

次ページ 「過去の採用施策の積み重ねが作った土壌」へ続く