マーケティングの歯車までを動かす体験ブランディング

【前回コラム】「バルミューダにみる、製品スペックを超えた体験価値」はこちら

第1回と第2回では、ユーザーに感動的な体験を提供することを第一のミッションにしているブランドや、ユーザーの手に渡ってからの体験や経験をサポートしてブランド価値を高めているブランドについて考察してきました。今回はそれらと対極にいるロングセラーブランドにおける体験ブランディングの可能性についてお話ししたいと思います。

体験ブランディングは、ロングセラーブランドにこそ効く

「バルミューダやトヨタ86のようにユーザー体験の質を念頭において新製品をゼロから開発できるブランドや商品は、高スペックの似たような製品で溢れかえっている成熟社会でも勝負できるのはわかる。でも、昔からある商品では、今から体験ブランディングなんてできないんじゃないか?」。そう感じていらっしゃる人もいるのではないでしょうか。

この問いに対する私の見解は、

「体験ブランディングは、ロングセラーブランドや日本中どこにでも売っている身近なブランドにこそ効く」

です。

現場で体験ブランディングを実践してきて個人的に可能性を感じているのは、誰もが知っている国民的なブランドや商品(以下、便宜的に「ロングセラー」とまとめます)だったりします。「誰もが知っている」ことは、「共通のブランド記号がある」ということ。そこに新しい体験価値を創造できれば、みんなにワクワクを提供できますし、SNSやPRで世の中に伝播しやすい––すなわち体験ブランディングで成功する確率が高まるということです。

続きを読むには無料会員登録が必要です。

残り 2837 / 3425 文字

KAIGI IDにログインすると、すべての記事が無料で読み放題となります。

登録に必要な情報は簡単な5項目のみとなります

「AdverTimes. (アドタイ)」の記事はすべて無料です

会員登録により、興味に合った記事や情報をお届けします

藤井一成(ハッピーアワーズ博報堂 代表取締役社長/クリエイティブディレクター)
藤井一成(ハッピーアワーズ博報堂 代表取締役社長/クリエイティブディレクター)

1999年から博報堂でインタラクティブクリエイティブを軸に統合キャンペーンを手掛け、その後グループ内ブティック、タンバリンに参加。2016年より同社代表に就き「ハッピーアワーズ博報堂」に社名を変更。

“これでいい…”という消極的選択が溢れる成熟社会で、「ブランド」と「生活者」の関係性をアップデートする“至福”の体験価値をクリエイティブし、ブランデイングとマーケティングの両輪を動かしている。

藤井一成(ハッピーアワーズ博報堂 代表取締役社長/クリエイティブディレクター)

1999年から博報堂でインタラクティブクリエイティブを軸に統合キャンペーンを手掛け、その後グループ内ブティック、タンバリンに参加。2016年より同社代表に就き「ハッピーアワーズ博報堂」に社名を変更。

“これでいい…”という消極的選択が溢れる成熟社会で、「ブランド」と「生活者」の関係性をアップデートする“至福”の体験価値をクリエイティブし、ブランデイングとマーケティングの両輪を動かしている。

この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

このコラムを読んだ方におススメのコラム

    タイアップ