【前回コラム】「バルミューダにみる、製品スペックを超えた体験価値」はこちら
第1回と第2回では、ユーザーに感動的な体験を提供することを第一のミッションにしているブランドや、ユーザーの手に渡ってからの体験や経験をサポートしてブランド価値を高めているブランドについて考察してきました。今回はそれらと対極にいるロングセラーブランドにおける体験ブランディングの可能性についてお話ししたいと思います。
体験ブランディングは、ロングセラーブランドにこそ効く
「バルミューダやトヨタ86のようにユーザー体験の質を念頭において新製品をゼロから開発できるブランドや商品は、高スペックの似たような製品で溢れかえっている成熟社会でも勝負できるのはわかる。でも、昔からある商品では、今から体験ブランディングなんてできないんじゃないか?」。そう感じていらっしゃる人もいるのではないでしょうか。
この問いに対する私の見解は、
「体験ブランディングは、ロングセラーブランドや日本中どこにでも売っている身近なブランドにこそ効く」
です。
現場で体験ブランディングを実践してきて個人的に可能性を感じているのは、誰もが知っている国民的なブランドや商品(以下、便宜的に「ロングセラー」とまとめます)だったりします。「誰もが知っている」ことは、「共通のブランド記号がある」ということ。そこに新しい体験価値を創造できれば、みんなにワクワクを提供できますし、SNSやPRで世の中に伝播しやすい––すなわち体験ブランディングで成功する確率が高まるということです。