SNS上での「自分推し」に注意:2つの人格「アダムⅠ」「アダムⅡ」についての考察

最近、シーン全体の盛り上がりも相まって、インフルエンサー関連の調査プロジェクトをいくつか進めています。広告コミュニケーションの分野において、中長期的に非常に重要なテーマのひとつであることは疑いありません。

しかしながら、今とても気になっているのが、このテーマだと時折やや浅薄な話が顔を出しがちであるということです。自分をいかにしてブランディングしていくのか、発信力や影響力が経済的な価値を持つまでにどう高めていくか……など。

もちろんそれは多くの人に求められる類の知識であるのかもしれません。それに、そこまで大仰な話じゃなくても、SNSを通じて自分の名前が立つことにつながったらいいなと思う人は少なくないでしょう。

しかしSNSは自分のプロモーションのための道具にすぎないのでしょうか?

それは少々貧しい見方かもしれないということを今回は論じたいと思います。

「自分推しに注意」が全米ベストセラーに

ここで、タイトルにも掲げたキーワード「アダムⅠ」「アダムⅡ」がどこから出てきたものなのか、説明を加えておきましょう。これは、ニューヨークタイムズの名コラムニストであるデイヴィッド・ブルックスが『あなたの人生の意味』(原題はThe Road to Character)の中で提起した対概念です。ちなみにこの本は、ビル・ゲイツも2015年の年間トップだと称賛した1冊です。

続きを読むには無料会員登録が必要です。

残り 3404 / 3960 文字

KAIGI IDにログインすると、すべての記事が無料で読み放題となります。

登録に必要な情報は簡単な5項目のみとなります

「AdverTimes. (アドタイ)」の記事はすべて無料です

会員登録により、興味に合った記事や情報をお届けします

天野彬
天野彬

1986年生まれ。東京都出身。東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。 2012年株式会社電通入社後、マーケティング部門、新規事業開発部門を経て、2014年から電通メディアイノベーションラボにて研究/執筆/コンサルティングの業務に携わる。専門領域はスマホユーザーやウェブサービスのリサーチ。
主著にインスタグラムをはじめとするSNSのトレンドを分析した『シェアしたがる心理~SNSの情報環境を読み解く7つの視点~』(2017年、宣伝会議)。その他、『情報メディア白書2016/2017/2018』(ダイヤモンド社、共著)、『二十年先の未来はいま作られている』(2012年、日本経済新聞出版社、共著)。経済番組でのコメンテーターや宣伝会議、日本マーケティング協会、全日本広告連盟、アドテック東京などでスピーカーを多数務める。「Forbes JAPAN」オフィシャルコラムニスト。

天野彬

1986年生まれ。東京都出身。東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。 2012年株式会社電通入社後、マーケティング部門、新規事業開発部門を経て、2014年から電通メディアイノベーションラボにて研究/執筆/コンサルティングの業務に携わる。専門領域はスマホユーザーやウェブサービスのリサーチ。
主著にインスタグラムをはじめとするSNSのトレンドを分析した『シェアしたがる心理~SNSの情報環境を読み解く7つの視点~』(2017年、宣伝会議)。その他、『情報メディア白書2016/2017/2018』(ダイヤモンド社、共著)、『二十年先の未来はいま作られている』(2012年、日本経済新聞出版社、共著)。経済番組でのコメンテーターや宣伝会議、日本マーケティング協会、全日本広告連盟、アドテック東京などでスピーカーを多数務める。「Forbes JAPAN」オフィシャルコラムニスト。

この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

このコラムを読んだ方におススメのコラム

    タイアップ