コラム

「シェアしたがる心理」のこれからを考える

SNS上での「自分推し」に注意:2つの人格「アダムⅠ」「アダムⅡ」についての考察

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あなたのSNSアカウントにも併存するアダムⅠとアダムⅡ

アダムⅠとアダムⅡはあらゆる人格の中に存在する2つのモードだと仮定できるでしょう。個人差で強弱はあったとしても、誰もがその2つを持ち合わせています。

アダムⅠは社会的な成功を求め、効率性や功利性を尊び、ロジックに基づいて思考します。その一方で、アダムⅡは自身の心の平穏や周囲との関係性の調和、自分の利益よりもコミュニティや社会への貢献を重視します。

アダムⅠはいわば「大きな私」であり、自分をより外へと拡張していくようなベクトルで、「獲得すること」を重視するモードです。自分の探究や自己実現に向かいます。一方でアダムⅡは「小さな私」であり、自分の内面との向き合いの中で磨かれ、利他的な貢献を志向するでしょう。世界が自分に何を求めるのかという態度を有します。

今流行りのSNSを通じたセルフブランディング、フォロワー数を上げて発信力向上……といった話はアダムⅠ、つまり「大きい私」をさらに拡大させていくことに他なりません。私見では、それは生活者一人ひとりが発信者となり、セルフプロモーションしてより大きな成功を得る道が目の前に開かれたことも関係しているでしょう。

フォロワー数やいいね数を求めてしまうのは、なにも現代人がダメだ云々という話ではなく、拙著『シェアしたがる心理~SNSの情報環境を読み解く7つの視点~』の中でも指摘した通り、プラットフォーム自体がそのようなつくりになっており、ユーザーに中毒性をもたらすリスクを内包しているためです。

しかもそのアダムⅠの行動基準は、それが外にあるがゆえに際限がない――そのような危険性を認識しておくことも重要です。

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