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動画による社内エンゲージメント向上プロジェクトは、どう進んだのか?(前編)

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マーケティング、販売促進、新規事業、広報など、様々な分野で成果を出すことのできたプロジェクトは、どのように進められたのか?を、可視・構造化して解き明かすインタビュー企画。

今回は、エンプロイーエンゲージメント向上、コーポレートカルチャー醸成をテーマに、『予定通り進まないプロジェクトの進め方』の著者前田考歩氏が、メットライフ生命保険のプロジェクトについて伺いました。

前田:プロジェクトというとシステム開発などの分野で使われるイメージが強いですが、私たちは「当人にとって未知の要素を含めば、どんな業務であってもそれはプロジェクトたり得る」というとらえ方をしています。「やったことがない」プロジェクトである以上、その成功確率はとても低いですが、そんなプロジェクトを成功させている責任者・リーダー・マネージャーの方々には、成功に導いた何かしらのパターンがあるはずです。このパターンを、拙著で提唱している『プ譜』というフォーマットによって明らかにしたいというのが、このインタビュー企画の趣旨です。

今回は、2019年2月発売の『宣伝会議』でも紹介されていた、メットライフ生命保険さんの「動画によるコーポレートカルチャー醸成プロジェクト」についてお伺いしたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。

(※本インタビューは、2018年12月に行われたものです)

北條:原田:はい、よろしくお願いします。

前田:まず、『プ譜』について少し説明させて頂きます。プ譜とは、「時系列的な遷移も含め、逐次変化するプロジェクトの状況・全体像を可視化するための記述方法」です。

プロジェクトには必ず「目標」が存在します。その目標を達成する上で、まずは所与のリソース(人材・予算・ツールなど)や制約(スケジュール・求められるクオリティ・社内カルチャーなど)がプロジェクトの基礎となります。

そしてプロジェクトを進めていく上で鍵となるのは、そのプロジェクトがどうなっていたら成功と言えるかという「勝利条件」を表現することです。また、その勝利条件を満たすために、担当者自身が、関係者が、使用するツールなどが、どうなっているべきかという「あるべき状態」を設定することです。

これがプロジェクトを進めるためのおおまかなプランになるのですが、今回のプロジェクトではどのような目標・ミッションが与えられ、そこに辿り着くためのプランを描いておられたのでしょうか?

北條:私が所属するのは、コーポレートコミュニケーショングループのエンプロイーエンゲイジメントチームで、社内コミュニケーションが主要業務になりますが、「デジタルチャネルを活用した社内エンゲージメントの向上」が目標でした。もともとグローバル主動で最新のデジタルプラットフォーム・ツールが導入され、色々なことができるようになったのですが、それらの機能をどのように使えば良いかわからないという状況が起きていました。

前田:具体的にはどのようなデジタルツールがあって、どのようにその状況に対処されたんでしょうか?

北條:2016年にmyMetLifeという社内イントラ、MetLifeTubeという動画プラットフォーム、そして社内向けSNSが導入されました。ただ、色々な機能があるのに、ITに詳しい人じゃないと使えない、という状況になっていたので、イントラに関してはいろんな部門に声をかけ、その部門の為に新しいイントラを使えば業務効率化が図れるような使い方ができますよというレクチャーを少しずつしました。また、月一の中途採用オリエンテーションでも講師としてレクチャーしています。

社内向けSNSについては、全社グループに投稿すると全社員が見ることができるので、なかなか投稿しづらいという問題もありました。そこで、逆転の発想から、社員に業務上のお知らせを出す部門に、「ここに投稿すれば情報をより多くの人に見てもらえますよ」と提案しました。そうすると、投稿者は限られますが、読み手においては自分に関係するようなお知らせが出ているので、だんだんと見る人が増えてきました。

前田:
なんでもいいから投稿しようよ、ではなく、情報をどうしても届けたい部門の方からの発信を奨励したということですね。

北條:ユーザーが全員投稿することではなくて、発信したい部門が知って欲しい情報を容易に投稿できるようにしてあげたい、という考えです。たとえば、情報を発信できる管理者権限を付与すると全社にその情報が「お知らせ」としてメールで全社員に届くことを提案しつ続けることで、今まではコーポレートコミュニケーションの部門だけで利用していたのが、毎日少しずつ他の部門から情報が発信されるようになってきました。


書籍案内
予定通り進まないプロジェクトの進め方
ルーティンではない、すなわち「予定通り進まない」すべての仕事は、プロジェクトであると言うことができます。本書では、それを「管理」するのではなく「編集」するスキルを身につけることによって、成功に導く方法を解き明かします。

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