動画による社内エンゲージメント向上プロジェクトは、どう進んだのか?(前編)

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ツールを導入して終わり、にしないためには

前田:「他の部署の人たちが何をやっているかが分かり、存在をより近く感じることができて」いれば、社内のエンゲージメント向上は果たせている、というのが、北條さんの勝利条件だったということだと思うんですが、この勝利条件を果たすために、「社内環境がこうあるべきである」とか、或いは「そこに関わる人がこういう状態になっているべきである」といった、「あるべき状態」をイメージされていたでしょうか?

先ほど、北條さんご自身が一時間のトレーニングを行っているとおっしゃっていたんですけれども、ツールを導入した人・ツールの導入を決めた人が、「あとはよろしくね」ということが結構あります。社内に浸透させるための手取り足取りをしないというようなケースがままあるんですが。

北條:わかります。ただ、弊社の場合は違います。

前田:プ譜においてはこうした「あるべき状態」のことを『中間目的』と呼ぶのですが、そうしたケースも多い中、勝利条件を果たす上で、こういう「あるべき状態」をつくっておかなければいけない、こういうことをしておかなければいけないんじゃないかとお考えになられたことには、どんなことがあったでしょうか?

北條:先ほどお話した一時間のトレーニングは、私たちチームにとってもエンゲージメントにつながる重要な要素だと考えています。なぜかと言うと、まずツールを貸し出しますと言っても、どうしたらいいかわからない、どのように使うのかなど、不安な気持ちがあります。なので、「こんな簡単に動画を撮れますよ」「自分たちの表現したいこと・伝えたいことをすぐに動画にできるんですよ」ということを、トレーニングを通じて「自分たちで動画をつくることができるんだ」ということを実感できる内容にしています。その時に「できる!」と安心してもらうというか、モティベーションを上げていくというか・・・、

前田:ナイスカット~!みたいな感じで盛り上げて・・・、

北條:そんな感じです。(笑)。真面目に、淡々と教えるというより、彼らのイメージが膨らむようなサポートをしています。

使用している動画制作アプリ自体にはテーマにあった数種類のテンプレートがあり、カット数や秒数制限などの制約があるので、その中でクリエイティブにならなきゃいけないところがあります。誰もが使えるぐらい簡単なツールでも、はじめは自分でやってみるまで不安があるものです。クリエイティブになる前に、ツールの技術的な面で怖気づいてしまうと先に進めないので、まずツールに対する不安を取り除くことが大切です。ツールの使い方、動画制作からアップロードまでの流れ、一連のプロセスをきちんと説明することで、問題なく使えるようになり、情報を発信したい人が自ら動画制作をできるようになると、次第に「動画制作が楽しくてしょうがない」、という良い流れになっていきます。

動画が完成すると、我々の方でその動画を社内のデジタルチャネルすべてに配信します。オフィス3拠点、約70台の社内のデジタルサイネージやイントラのトップページ、動画配信プラットホームMetLife Tube、社内ソーシャルメディアの「デジタルサイネージニュース」というカテゴリーなどで、全社員に向けて発信します。その情報というのは、発信者にとっては社員に知らせる業務上の義務的な一面がある一方、自分の関わった仕事という個人的な一面があります。それが色々なデジタルチャネルに実際に掲出されているのを見ると、やっぱり嬉しい気持ちをもつのではないでしょうか。そして、それを見た同僚から色々なコメントをもらうことで、それがまた嬉しくなり感情的な一面が育ちます。そうして、双方向のコミュニケーションが生まれる、という状況になってきているなぁと感じています。

前田:今のお話を「あるべき状態」という表現にし直すとすると、「ユーザーとなる社員のみなさんの、ツールを使うことに対する不安を払しょくできている」ですとか、あとは「クリエイティブにならなきゃいけない」というお話をされたんですが、モチベーション高く、「こういう動画が撮りたいな」といった前向きな気持ちになっているべきであるという表現は適切でしょうか。

北條:はい、そうですね。「楽しい!」って思えるかが大事です。

前田:その「イメージが膨らんで、楽しい!と思えるようになる」ために、一時間のトレーニングをするという施策・活動を行ってこられた、というわけですね。他に、不安を払しょくする、楽しい気持ちにさせるために、行ってこられた施策はあるでしょうか?

北條:社内ソーシャルメディアにただ掲出するだけでなく、「どの部門の誰さんがこのような動画を制作されました、ぜひ見て下さい」というような紹介文を添えて出していますね。また、他部門の方がつくった動画事例を見せてあげるといったことですね。

前田:たしかに、ネガティブな人だと「このクオリティでいいのかな」と不安になる方もいらっしゃると思うんですが、他の方の事例を見ると、これでいいんだと思えるということですね。

北條:あんまりプロっぽくないというところがいいんですよ。社員が自ら制作しているので、作り手の素が出るというか、自然な感じなところがいいんだと思いますね。

(後編は2月25日公開予定です)

Point

● ツール導入者は、社内利用浸透のため、まずツール利用に対する不安を取り除くべし。

● ツールを導入(インプット)したら、その成果を発表・共有する場所を設けるべし。


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