【前回コラム】「ママ友のバーキンを羨ましがる妻が「本当に欲しかったもの」を知る方法」はこちら
社会的な問題の解決も、本質的な不満の発見から
インサイトのリアルな活用法について紹介しているこの連載。前回に引き続き、「不満の解消」から展開するソリューションがテーマです。
前回は「夫に対する妻の真の不満」を読み解き、その不満からリカバリーの打ち手=アイデアを考える道筋を説明しました。今回は、不満に関連する層を広げて、SDGs(持続可能な開発目標)などにも応用可能な、社会的な問題の解決について採り上げます。インサイトを把握することがコミュニケーションやマーケティングだけにとどまらない、強い「課題解決力」があることを感じてほしいと思います。
ポイントは、「表面的な不満」に惑わされず、本質的である「無自覚な不満」に目を向けることです。そして、「無自覚な不満」を見つけるための考え方がわかる「ブランク部分を埋めていくだけで不満がわかるフレーム」を紹介します。
「多数の意見」だけを見ていると、本質をとらえた不満は見えてこない
今回、注目したのは、「日本の農業従事者の減少を食い止める」という課題にどのように対応するか、というテーマです。
農業に従事する人の数が減少していることは日本において長年の問題でした。農林水産省の「農業構造動態調査」では、全国の農業経営体数は平成20年に180万4000経営体だったのが、平成30年には122万500経営体になっています。特に、高齢化が進む中、若年層の農業の担い手が減っていることがクローズアップされてきました。若い人に農業をどうやってアピールして、やってみたいと思ってくれる人を増やすか?がテーマになっていたのです。