無自覚な不満を発見するフレームで、真に効果的な打ち手を見つけよう
若い人が農業に関心を持てないのは、単にお金の問題ではなかった。それ以上に、どう働くか、どう生きるかといった「無自覚な不満」に目を向けることが重要だったのです。お金の問題を言うのは表面的な不満です。そのような不満に応えてお金をばらまくのではなく、本質的な不満に向きあうことが重要だったのです。
こういった農業経営法人が次々と認可を受け、「雇用就農者」と分類される「雇われて農業をやる人」は非常に若い人の比率が高くなっています。そして新規雇用就農者はここ数年増加しており、新たな農業の担い手として期待される状況になっています。
社会的な問題を解決したい。その解決策を考える時、政治家、行政、マスコミ、社会活動家といったプレーヤーは不満に着目します。しかし、数多くの問題がなかなか前進していないのも現状です。それは、問題を解決させると考えられている「不満」が、見当違いだからです。
「多くの声が上がっている」というだけの理由で、そういった「表層的な不満」に対応しているだけでは、困難なテーマを解決することはできません。
日本の行政や公的な問題への取り組みは、このような表面的な不満に対応するばかりで何も前進していない、と感じることが圧倒的に多いと個人的に感じます。もっと「無自覚な不満」に目を向けるアプローチが進めば、社会全体が幸せを感じられることになっていくと思われます。
また、社会問題に取り組む社会起業家やNPO、あるいはソーシャルグッドの問題を取り扱うPRやキャンペーンのプランニングにも、このように価値を糸口として不満を解消するアプローチが有効です。
前回紹介したパーソナルな人間関係の問題から、このようにソーシャルで大きな問題の解決にまで、このフレームは活用できます。そしてもちろん、マーケティングやコミュニケーションの企画にも応用することが可能です。
多くの企業にとって「不満」とは、“クレームと同じもの” “内容が千差万別” “移ろいやすい”といった印象を持たれている。そのため「そのようなものに対応はできない」や、逆に「把握できているので対応の必要はない」と思われている。しかし、このようなフレームを使えば「無自覚の不満」がわかり、企業に有益な情報が数多くもたらされる。極論すれば世界が変わるほどのインパクトがあると私は思うが、読者はどのようにお感じになっただろうか。
次回もこのシリーズの続編です。ビジネスに関する事例を紹介します
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