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あなたが動くと会社が変わる! 途中で“つまずかない” マーケティングのデジタル化入門

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従来からあるCRMにおけるデータ活用と異なり、近年、進化が進んでいるのが「アノニマス(匿名)」データの利活用だ。これまでは勘と経験が中心だった広告を始めとしたマーケティング施策も、大きく進化を遂げる可能性を秘めている。
しかし、その可能性を前にしながらも実際にはデータの利活用が進んでいないという企業の課題も聞こえてくる。数々の企業のマーケティングのデジタル化を支援してきたアドビ システムズ 株式会社(以下、アドビ)の国和徳之氏、小松崎扶美恵氏に成功のポイントを聞いた。
右から、アドビ 国和徳之氏、小松崎扶美恵氏。

「データの民主化」の理想を前に、マーケティング担当者が直面する課題

消費者がオンライン上で過ごす時間が増え、企業と消費者のあらゆる接点でデータが取得できるようになった現代。データを活用した、マーケティングのデジタル化が求められている…。ここ数年、あらゆる場で提唱されてきたメッセージだ。しかし「言うは易く行うは難し」で理想を描きながらも、現実の壁を前にして、課題を抱えているマーケティング担当者も多いのではないだろうか。

アドビでエンタープライズマーケティングを担当する小松崎扶美恵氏(マーケティング本部 マーケティングマネージャー)も以前は、事業者側でマーケティングを担当した経験から、担当者が直面する課題に共感を示す。

「多くのビジネスパーソンが私生活ではスマホなどデジタル化が進んでいるにも関わらず、仕事になると従来型のプロセスを固持するという経験があると思います。データの利活用においては、まだまだ伸びしろがあると言えます」。

さらに「データは自社にとっての資産という認識がまだ広まっていないのも残念なこと」と続ける。例えば、自社サイトのアクセス解析のレポートを出しても、「アクセス数を見るだけ」という状況に留まってしまう企業は多い。

「本来であれば、そこからどのようなインサイトが得られ、さらに営業をはじめとする他の部署の人たちにどう次のアプローチに活用してもらうか。次のアクションにつながる活用でなければ、有益とは言えません」(小松崎氏)。

では、この壁をどう乗り越えていけばよいのだろうか。小松崎氏はデータ利活用で実現する理想の姿を思い描きながらも、まずは小さなところで成果を出す必要性を説く。

「本来は社内の全部署がデータを共有し、あらゆる部門が活用できる体制をつくる。つまりは“データの民主化”まで行き着くことが理想です。しかし、高いゴール設定では達成が難しいため、フェーズを切り現実的な短期・中長期の目標が必要です。他部署を巻き込むには、まず自部門でデータの利活用を始め、成果を可視化させると徐々に理解者が増えていきます」。

これに関連し、国和徳之氏(マーケティング本部 マーケティングマネージャー)は「私たちもソリューション導入に際して『“エグゼクティブスポンサー”を見つけましょう』という提案をすることもある」と話す。現場で感じる導入のメリット、さらに、そこに理解・共感をしてくれるエグゼクティブクラスの応援が加わると、全社的なメリットの発信につながっていくからだ。

実際、小松崎氏も事業者でマーケティングをしている当時、他部門の人の目にデータが触れる機会が増えると、マーケティング部門だけでは気づかなかった活用の仮説を発見することにつながるという実感を得ている。

「部門を超えた複数の目があると、ひとつのデータであっても違う角度から読み取れることが出てくる。データの取得や整備を効率化させ、「考えること」に時間を割くべきでは」と話す。

アドビ マーケティング本部 Experience Cloud マーケティング マネージャーの小松崎扶美恵氏。

“アノニマス”の状態の潜在顧客にまで効率的にアプローチができる

それでは企業内で起こりがちな問題を乗り越え、データを利活用し顧客を理解し、適切なマーケティング活動を実行するにはどうしたらよいのだろうか。小松崎氏は「当たり前のことではありますが、まずは自社サイト内におけるユーザーの行動や自社で保有しているデータの現状を把握すること。データをもとに状況把握したうえで、自部門で成果を出せそうな施策を始めてみることが大切」としてアナリティクス導入の意義を説明する。

さらに国和氏は「アナリティクスの導入は、最初の段階は小さく入るのが失敗しないポイント」と続ける。その上で「データから気付きを得て、施策改善に活かす。そのPDCAを素早く回していけば、やがて大きな成果へと育つ。できるところから始めていくと、見えてくるものがあり、担当レベルの影響範囲が広がっていきます」(国和氏)。

従来からもあったCRMでも、データの利活用はなされていた。しかし、昨今のデータマーケティングのポイントは、アノニマス(匿名)のユーザーのデータが取得できるようになっている点にある。当てもなく、大海原に網を投げるように広告を打つのではなく、匿名のユーザーであっても行動解析データを取得できるので、より的確なオーディエンスを選んで広告を配信。投資の効率も高めることができる。マーケティング担当者にとっては、この領域の活用がすぐに成果の出しやすい部分だろう。

自らがマーケティング投資のデジタルシフトを実現し、パッケージ商品の販売からサブスクリプションモデルへと転換を果たし、マーケティングのデジタル化を推進してきたアドビ。

同社では自社の実践も踏まえて「顧客体験管理(CXM)」(優れた体験を届けるために、あらゆる企業活動を改善し続けること)の実現をサポートするソリューション「Adobe Experience Cloud」を提供している。

「Adobe Experience Cloud」は「Adobe Marketing Cloud」、「Adobe Analytics Cloud」、「Adobe Advertising Cloud」、「Adobe Commerce Cloud」のすべてを内包したソリューションではあるが、小松崎氏は「いきなりすべてのプラットフォームを導入する選択肢だけでなく、最優先で取り組むべき課題で必要なソリューションから選んで導入することもできる」と説明する。

最初の取り組みにお勧めなのが「Adobe Analytics Cloud」だ。「Adobe Analytics Cloud」には「Adobe Analytics」「Adobe Audience Manager(DMP)」の2つの製品が内包される。

小松崎氏は「『Adobe Analytics』から導入を始めて、『Adobe Audience Manager』の順番で導入を進めるのが、理想的なステップと話す。

アドビ マーケティング本部 Experience Cloud マーケティング マネージャーの国和徳之氏。

データからインサイトを獲得し、成果の上がるアクションにつなげる

ここで「Adobe Analytics」「Adobe Audience Manager」それぞれの特長を見ていこう。

1.「Adobe Analytics」
各顧客接点データの分析からインサイトを獲得することができる「Adobe Analytics」は、デジタル顧客接点での顧客行動やキャンペーン施策のパフォーマンスなどのデータから、インサイトを獲得してアクションにつなげることのできる分析ツール。webやアプリなどのデジタル顧客行動の解析から高度な顧客理解まで、幅広く対応。

「まずは現在、自分の業務で何が起きているのかを可視化し、次の打ち手や改善策を探すときに『Adobe Analytics』が役立つ。マーケティング施策の実施の振り返りをする基盤として一番導入しやすいツール」(国和氏)。

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2.「Adobe Audience Manager」(DMP)
価値あるオーディエンスプロファイルを構築する機能を特長とする「Adobe Audience Manager」は、あらゆるデバイスに分散するデータから迅速に価値あるオーディエンスデータを導き出すことが可能。広告配信やサイト内ターゲティングなどに用いると、その効果が期待できる。

「自社でDMPの構築を検討する企業もいるとは思うが、実際には敷居の高いこと。『Adobe Audience Manager』を導入すれば、DMPの機能を手軽に導入できる。そしてDMPの強みは、内包するデータがアノニマス(匿名)をカバーしていること。潜在顧客にも効率的にリーチできる。今のお客様に似ている新規のお客様を取りに行こうとしているとき、その潜在的なお客様はどれくらいいるのかとか、どこに広告を打とうかとか、お客様にサイトに来てもらい興味を持ってもらうなど、DMPが効率化のカギになる」(国和氏)。

まずは自分で完結できるレベルから始めて部門レベル、さらに事業レベル、最終的には全社レベルへとデータ利活用を進めていく…。その最初の一歩を踏み出せるのは、顧客とあらゆるチャネルで接点があるマーケターではないだろうか。

「データをうまく活用していくという社内文化を育てることができれば、それは企業の資産になる」と国和氏は強調する。さらに「5年、10年の未来を見据えて、自分たちに今何ができるかを考えてほしい」と小松崎氏。マーケティングのデジタル化は「できることから1歩1歩取り組むことが大事」と言えそうだ。



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アドビ システムズ 株式会社
URL:Adobe Analytics Adobe Audience Manager