5時間目:「草で、自分の体重を支えるロープを作れ」 ~ カナダのテクノロジーの授業

【前回コラム】「4時間目:「三種の神器について、所感を述べよ」 中学時代の黒澤明監督の答案と、先生の採点。」はこちら

イラスト:萩原ゆか

「ちょうどいいところに帰って来た!」

2008年、東京に戻った僕を見つけて、声をかけて来たのは一人の上司。その頃は短期留学制度というものが社にあって、僕はバルセロナのプロダクトデザイナー、Marti Guixeのスタジオに押しかけて、半年働いて来たところだった。

「あのさ、4月からうちの部署にロシア人の女の子が来るから、倉成につけていい?」

聞くところによると、日本語喋れるらしいし何をそんなに焦る必要があるのかと思ったけれど、男性の諸先輩方にとっては、どうしよう、って感じだったのだろう。しかし、スペインとロシアに何のつながりが…?海外ってだけか…?と思いつつ、もちろんこの未知の事態にはこう答えた。

「面白そうじゃないですか~」

そして次の春、一緒に働き始めたのがキリーロバ・ナージャ。それからなんと12年も一緒に仕事をしている。広告も作ったし、いろんなプロジェクトも新規事業も作ったし、海外でのカンファレンスで一緒に授業をやったりもした。

僕のことを師匠なんて、たまにおだてて言うが、はっきり言っていろんなことを教わってばかりなのでどっちが師匠かわからない。特に英語でのプレゼンなんかは彼女に叩き込まれた。僕の右腕と言うよりも、もはや今となっては逆で、僕が右腕か、いや右腕の小指くらいかもしれない。

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倉成英俊 (Creative Project Base 代表取締役/ アクティブラーニングこんなのどうだろう研究所所長)
倉成英俊 (Creative Project Base 代表取締役/ アクティブラーニングこんなのどうだろう研究所所長)

2000年電通入社、クリエーティブ局配属後、多数の広告を制作。2005年に電通のCSR活動「広告小学校」設立に関わった頃から教育に携わり、数々の学校で講師を務めながら好奇心と発想力を育む「変な宿題」を構想する。2014年、電通社員の“B面”を生かしたオルタナティブアプローチを行う社内組織「電通Bチーム」を設立。2015年に教育事業として「アクティブラーニングこんなのどうだろう研究所」を10人の社員と開始。以後、独自プログラムで100以上の授業や企業研修を実施。2020年「変な宿題」がグッドデザイン賞、肥前の藩校を復活させた「弘道館2」がキッズデザイン賞を受賞。

倉成英俊 (Creative Project Base 代表取締役/ アクティブラーニングこんなのどうだろう研究所所長)

2000年電通入社、クリエーティブ局配属後、多数の広告を制作。2005年に電通のCSR活動「広告小学校」設立に関わった頃から教育に携わり、数々の学校で講師を務めながら好奇心と発想力を育む「変な宿題」を構想する。2014年、電通社員の“B面”を生かしたオルタナティブアプローチを行う社内組織「電通Bチーム」を設立。2015年に教育事業として「アクティブラーニングこんなのどうだろう研究所」を10人の社員と開始。以後、独自プログラムで100以上の授業や企業研修を実施。2020年「変な宿題」がグッドデザイン賞、肥前の藩校を復活させた「弘道館2」がキッズデザイン賞を受賞。

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