コロナで大きく影響を受けた2020年を振り返り、『言葉ダイエット』(宣伝会議刊)の著者であるコピーライターの橋口幸生さんから力強いメッセージが届いた。
1年前、『
』という本を発売した。ひと言にまとめると、「具体的な文章を書こう」という内容だ。ビジネスでは、やたら長いわりに内容が無い文章が当たり前に書かれている。たとえば、
「イノベーティブなソリューションで衝撃的でインパクトのある顧客体験を共創させていただきます」
…というようものだ。具体的なメッセージを伝えるより、「やってる感」を出すことを優先すると、こういう文章がうまれる。当たり前だが「具体」にはリスクがともなう。誰かに嫌われるかもしれないし、失敗すれば恥をかく。忖度、保身、責任逃れといった事ばかり考えているから、長くて読みづらい悪文を書いてしまう。こんな状況に対する自分なりの問題提起として『
』を書いた。おかげさまで多くの方に共感していただき、現時点で4刷まで版を重ねている。
しかし、残念ながら世の中は、ますます「やってる感」一直線を突き進んでいるように思う。背景にはあるのは、Covid-19のパンデミックだ。
人と人の接触が増えれば感染拡大する。減らせば収まる。手から体内に入るから、手洗いで予防になる。ウイルスとは「具体」そのものだ。面子も保身も忖度も責任も、一切存在しない。どこまでも具体的だ。