取材費で飲み食いしていた私が、会社帰りに日比谷図書館へ通う理由

会社のお金で飲み食いしていたかつての自分

TBMに入社して、つくづく反省させられたことがある。出版社時代、いかに自分は会社のお金を我が物顔で使ってきたかということだ。そのひとつが、飲食を伴う取材費である。

『週刊ダイヤモンド』編集部では、記者たるもの、同僚と飲みに行って上司の愚痴を言う時間があれば、社外の人と飲んで見聞を広げ、あわよくばネタをとってくるのが仕事だと教わってきた。企業幹部から話を聞き出す際、昼間に会社の表玄関から訪ねて広報担当者が同席する場でインタビューするだけでなく、その幹部と親しくなって酒の席に誘い(もちろん広報抜きで)、口を滑らかにさせて裏話を聞き出すようになって一人前の記者であるという文化がしっかりと根付いていた。

私は元々が酒飲みではないので、酒の席で取材することに熱心な方ではなかったし、何より酔うとせっかくのネタを忘れてしまいがちだったのだが、スクープを頻繁に取ってくる記者は概ね、会食の場をうまく使っていたものだ。

 

実際、夜の会食は必要経費として認められ、上司から特段の制限がかけられることはなかった。事前に上司に申し出ることもない。事後承諾ばかりだった。領収書を添えて取材費として申請すれば、必ず精算してもらえた。

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深澤 献(TBM ブランド&コミュニケーションセンター長)
深澤 献(TBM ブランド&コミュニケーションセンター長)

ふかさわ・けん/広島県出身。株式会社TBMのブランド&コミュニケーションセンター長。1989年ダイヤモンド社入社。『週刊ダイヤモンド』でソフトウェア、流通・小売り、通信・IT業界などの担当記者を経て、2002年10月より副編集長。16年4月よりダイヤモンド・オンライン(DOL)編集長。17年4月よりDOL編集長との兼任で週刊ダイヤモンド編集長。19年4月よりサブスクリプション事業や論説委員などを経て、22年2月に新素材スタートアップのTBMに転じる。著書に『そごう 壊れた百貨店』『沸騰する中国』(いずれもダイヤモンド社刊・共著)など。趣味はマラソン。

深澤 献(TBM ブランド&コミュニケーションセンター長)

ふかさわ・けん/広島県出身。株式会社TBMのブランド&コミュニケーションセンター長。1989年ダイヤモンド社入社。『週刊ダイヤモンド』でソフトウェア、流通・小売り、通信・IT業界などの担当記者を経て、2002年10月より副編集長。16年4月よりダイヤモンド・オンライン(DOL)編集長。17年4月よりDOL編集長との兼任で週刊ダイヤモンド編集長。19年4月よりサブスクリプション事業や論説委員などを経て、22年2月に新素材スタートアップのTBMに転じる。著書に『そごう 壊れた百貨店』『沸騰する中国』(いずれもダイヤモンド社刊・共著)など。趣味はマラソン。

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