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インテル「Inter BEE 2022」グランプリVR作品を支援

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インテルは、同社のCPUを搭載した最新のPCを提供し、新たな挑戦をし続けるクリエイターを支援するプロジェクト「インテル Blue Carpet Project」を推進している。様々な分野のクリエイティブ活動を支援するなか、レコードレーベル「BATTEN Records」が制作したVR作品が権威あるコンテストでグランプリを獲得した。

VRを駆使した新たな映像体験

2022年11月16日から18日まで、映像・放送機器のメディア総合イベント「Inter BEE 2022」に開催された。国内最大級の国際展示会として、映像・音などに関する最新技術が一堂に会する会場には、多くの来場者が詰めかけた。会場内では、映像技術を推進する先進映像協会日本支部(AIS-J)が主催するコンテスト「ルミエール・ジャパン・アワード(Lumiere Japan)2022」の表彰式が行われ、VR部門グランプリを受賞したのが「BATTEN Records」が制作したVR映像作品『【VR】ばってん少女隊 Special VR Live 2022』だ。

同作品は、アイドルグループ「ばってん少女隊」のプライベートな一面を垣間見れるイメージ映像と人気曲のスタジオライブで構成され、まるでメンバーが目の前にいるような体験ができる。以前からボリュメトリック撮影技術や仮想現実(VR)といった新しいテクノロジーを用いてライブ活動や映像作品の制作に取り組んできたが、今回はいままでにない体験価値を提供する映像作品を目指した。

「『和とテクノロジーの融合』をコンセプトに、近未来の世界観をVRで実現する挑戦だった」と語るのは、BATTEN Records エンジニアの穐本雄介氏だ。

「いままでの映像作品はライブ映像がメインだったが、本作品ではメンバーと近い距離でのコミュニケーションを疑似体験できる要素を取り入れました。ライブシーンもグループの楽曲の持ち味を生かしたSFチックな世界観を間近で体感できるプログラムへと発展させました。映像作品としての演出力と、臨場感のあるVRに落とし込む技術力を両立できた点が、『ルミエール・ジャパン・アワード』のグランプリ獲得につながったのではないでしょうか」(穐本氏)

VR作品としての完成度の高さは、同作品を視聴体験できるキヤノンブースの賑わいからもうかがえた。撮影に使用されたのは、キヤノンのミラーレスカメラ「EOS R5 C」と、3Dの180度VR映像の撮影が可能な専用のRFレンズ「RF5.2mm F2.8 L DUAL FISHEYE」だ。キヤノン初となるVR映像撮影システムを駆使して撮影された映像は、高画質かつ色再現性を実現。リアリティ溢れる映像を体験した来場者は一様に驚いていた。

VR作品のさらなる没入感・臨場感を求めて

BATTEN Recordsがキヤノンの撮影機器を使用したきっかけは、『【VR】ばってん少女隊 Special VR Live 2022』の構想段階のこと。過去のVR作品は5.7K 30Pで制作していたが、穐本氏はそのスペックでの限界を感じていた。「より没入感と臨場感のあるハイクオリティな映像作品を制作するためには、高解像度・高フレームレートへのかじ取りが必要でした」。穐本氏は『8K 60P』、『誰でも扱いやすいわかりやすい操作性・手軽さ』という条件を掲げ、新たなカメラを探すなかで、「EOS R5 C」と「RF5.2mm F2.8 L DUAL FISHEYE」に出合う。当時の心境を穐本氏はこう振り返る。

「一眼レフカメラの使い勝手を有しながら、8K 60Pを実現できるのは大きな魅力でした。加えて、撮影機器のプロフェッショナルであるキヤノンさんに技術協力というかたちで映像検証などをサポートしていただけるのも心強かったです」(穐本氏)

キヤノンマーケティングジャパンの矢作大輔氏も、穐本氏が思い描く映像作品に同社撮影機器が貢献できると自信を持っていた。

「没入感のある映像を作り上げるには、視聴者の意識を途切れさせない長尺の映像が必要です。何を隠そう、『EOS R5 C』は長時間撮影が得意なシネマカメラ。冷却用の放熱ファンを搭載しているので、夏場でもノンストップの撮影をサポートします」(矢作氏)

事実、同作品の撮影は夏を思わせる暑さのなか行われた。テレビドラマ並みの設備とスタッフを動員し、撮影のプロフェッショナル同士の意見交換を通じて、VRに最適な照明やカメラワークを築き上げた。「VR作品において、カメラやマイクなどの『映り込み』は大敵です。180度の範囲内で没入感のある映像を撮影するため、照明の位置やカメラの移動スピードを工夫しながら撮影を進めました」と穐本氏は話す。

PCの処理速度がVRのクオリティ向上を左右

無事撮影を終えた穐本氏だったが、もうひとつの山場を迎えることになる。8K 60PのRAWデータの処理である。VR映像として最適になるようすべてのカットごとにパロメーターを調整し、コマ送りで映像を確認しては再度調整するという作業は膨大な時間を要した。

そこでインテルは、穐本氏に最新の「第13世代インテル Core プロセッサー」搭載のPCをテスト機として提供した。同じ素材の編集作業において、前世代と比較したところ8KVR動画編集に要する作業時間は約20%~30%短縮された。穐本氏は「VR制作ではPCのスペックが求められるケースがあります。次のプロジェクトでは、処理速度が向上した第13世代をぜひ使ってみたい」と話す。

「矢作さんから撮影データの編集に苦慮されていると聞き、処理速度を向上させ効率的な編集を実現できるよう、当時最新のCore プロセッサー搭載のPCを提供させていただきました」と話すのは、インテル第二技術本部部長の安生健一朗氏。インテル Blue Carpet Project』の考えに基づいて、BATTEN Recordsとキヤノンのチャレンジを後押するため、PCの提供に至った。

「クリエイターの立場からすると、処理速度の速いPCはありがたい存在です。それは、効率的に作業ができて編集が早く終わる、からではありません。よりクオリティの高い映像作品に仕上げるための試行回数を増やせるからです。世の中に発表する作品である以上、制作にかけられる時間は限られています。そのなかで、映像を調整してチェックする工程が1回でも増えることは、ストイックにクリエイティブを突き詰めたい私たちにとって、この上ないメリットなのです」(穐本氏)

最新テクノロジーでクリエイターを支援

来場者で賑わうキヤノンブースに設けられた『【VR】ばってん少女隊 Special VR Live 2022』の視聴体験コーナーには、「第13世代インテル Core プロセッサー」搭載のPCが使用された。BATTEN Recordsとキヤノンが追求した8K 60Pのクオリティを最高の環境で視聴してもらえるよう、「インテル Blue Carpet Project」が協力したかたちだ。

「BATTEN Recordsさんのクリエイティブとキヤノンさんの撮影機器が融合すればどのようなことを実現できるのか。それを多くの人に体感してもらうために今回サポートさせていただきました。一億総クリエイター時代と言われる現代社会では、スマートフォンで手軽に動画を撮影・編集することがクリエイティブだと思っている人もいます。でも、本当のクリエイターはそんなものではありません。圧倒的なこだわりで人々を感動させようと挑戦するクリエイターの皆さんを、『インテル Blue Carpet Project』ではこれからも応援していきたいです」(安生氏)

「直接的な臨場感はキヤノンの撮影機器、VRの世界に入り込む没入感はBATTEN Recordsの演出や作り込まれた映像によるものですが、その映像を最高のクオリティに仕上げる部分をインテルのPCが担っています。これから先、12K 120Pなどより高解像度で人間の動きに限りなく近いVR映像を制作する際には、ハイスペックな撮影機器やPCが必要です。これからもインテルさんと一緒にテクノロジーの進化を図りながら、クリエイターにとっての最高の環境を構築していきたいと思っています」(矢作氏)
「まだまだVR映像のクオリティは高められると考えています。12Kや24Kなど、解像度を上げていくことで、人間が現実に近い世界だと認識する確率は高くなるはずです。未知の領域が広がっているだけに、仮説立案と検証を行っていきたいです」(穐本氏)

さらに穐本氏は今後の展望についても言及する。

「倍速視聴など新たな視聴方法が生まれるなかでも、VRが提供する体験・経験価値は変わりません。『VRはこういうもの』と枠でくくることなく、倍速ならではの体験ができるVR映像などの可能性も追求していきたいです。撮影機器やハードウェアに関しては、今後もインテルさんとキヤノンさんのサポートが必要不可欠。私たちを含めた3者の強みを組み合わせながら、チームとして新たな映像制作に挑戦していきます」(穐本氏)