本記事は『宣伝会議』2023年4月号からの転載記事です。
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カルビー
カルビーカスタマーマーケティングカンパニー
営業企画本部
リテールサイエンス部 部長
松永 遼氏
商品を売るだけの時代は終わった 営業担当もマーケティング活動を
オフラインチャネルでも顧客データが取得できる昨今。これまではマーケターの経験と勘に頼っていた部分も多かった顧客にかかわる仮説が、データを活用することで検証できるようになってきた。
それにより、「売り場」を科学的に分析して、有効なマーケティング施策に繋げる企業が増えている。
菓子メーカーのカルビーもその取り組みを行う企業のひとつだ。
カルビーは2022年4月からリテールサイエンス部を発足。中期経営計画で流通取引先との戦略的パートナーシップを掲げていることを背景に、小売業態企業との連携をより強固にするべく設立された。
同部署の主な担当領域は大きく2つ。広域量販から得られる購買データやIDPOSデータを活用したリテールサポート。そして、店内にいる顧客の行動データを分析し、マーケティング施策に生かすリテールDXを役割としている。
店舗での販売戦略の立案が、さらにデータドリブンになり、マーケティング活動がカバーする領域が拡大、求められる知見も変化しつつある。実際、カルビーの現場では、どのような変化が起きているのか。
「以前ならば、価格を下げて量を売るという戦略が機能していましたが、昨今の物価上昇などの影響により、それが通用しない時代に差し掛かっています。そこで大事になるのが、店頭の顧客データを、営業担当が有効な店舗施策へ繋げること。従来の営業政策に加えて、営業担当もマーケティング活動に参加する必要性が高まっているのが、現在の変化だと捉えています」(松永氏)。
従来のカルビーのマーケティング活動は、商品企画をはじめとしたブランドマーケティングに重きを置いていた。
松永氏によると、今は店頭で商品の良さをどう理解してもらい、実際に手に取ってもらうのか、ということを考えなければならなくなったことで、ショッパーマーケティングを重視する考えも社内に広がってきているという。
「買う」と「食べる」の間で顧客理解のギャップが生まれる
ショッパーマーケティングの重要性が理解され始めているとはいえ、「売り場」を分析するカルビーのリテールサイエンス部と、各ブランドをマネジメントするマーケティング部署との間には乖離があることも大きな課題だと感じていると松永氏。
この乖離を生んでいるのは、想定する顧客層の違いだという―。
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