2011年7月号で50周年を迎えたブレーンは、「クリエイティブ立国、ニッポンをつくろう!」をテーマに特集を組んだ。広告で培われたアイデアやクリエイティブの力は、広く企業や社会の課題解決に役立てられる。クリエイティブは、日本が世界に誇る資源となる。そんな希望を込めて組んだ特集だった。その後取材を進める中で、その実現のためのキーワードが見えてきた。それが「チーム」と「クリエイティブディレクター」だ。
独創的で力のある仕事は、そもそもチームの組み方がユニークだ。10月号の特集「未来からやってきたテクノロジー表現」で感じたのは、新しい表現のバックボーンには、必ず新しいチーム編成があること。各ジャンルから知識とスキルを持ったメンバーが集まり、ヒエラルキーなく意見を出し合って、モノづくりの楽しさを存分に味わいながら実現に向けて進んでいく。その生き生きとした姿を見て、チームの組み方はもっと有機的でいいと感じた。
クリエイティブディレクターが強いリーダーシップを取って制作を進めていく縦割りのチーム編成は、効率的で洗練されている。しかし、メディアを使った従来の広告以外の答えを出すには、やや窮屈になっているかもしれない。2012年はファシリテーター型のリーダーを中心に、テクノロジーやビジネスに明るいメンバーも含め、各人の発想を十二分に引き出して掛け合わせ、大きく広げていく、そんなチームから優れた仕事が生まれるのではないかと感じている。
クリエイティブディレクターの役割も変化している。広告表現の品質責任者から、クリエイティブな方法でクライアントの課題を解決するアイデアの責任者へ。課題に対していかに鮮やかな「解」を提示し、実行できるかがクリエイティブディレクターの本分となるはずだ。このテーマに関しては、2月号からの新連載「私のクリエイティブディレクション論」で追っていく。
もうひとつ、昨年は3.11という大きな出来事があった。モノづくりの意識も変わった。作り手は、企画の根底に人を応援する気持ちの感じられるものを志向し、受け手も、嘘のないもの、作り手の真剣さが感じられるものに共感するようになった。昨年高い評価を受けた九州新幹線のCMや、NTTドコモのCM「森の木琴」はまさしくそこに合致した仕事だった。
2012年も多くの優れたクリエイティブに出合えることを願うと共に、誌面を通じて少しでもその後押しができればと思う。
月刊「ブレーン」副編集長 刀田聡子
新着CM
-
クリエイティブ
BOVAグランプリに「Let’s ギューリッシュ」 短尺・縦型増加で...
-
クリエイティブ
世の中を変えようと挑戦する起業家をヒーローに――2023ACC賞審査委員長が語る
-
AD
宣伝会議
【広報部対象】旭化成のグローバル社内イベント成功事例を紹介
-
AD
マーケティング
全社でCXを推進する三井住友海上火災保険 ヴァリューズと共に顧客理解を実現
-
クリエイティブ
「これでいいのか?」これからの広告(東畑幸多)コピー年鑑2023より
-
コラム
語り出すと止まらない!櫻坂46の魅力(遠山大輔)【後編】
-
AD
特集
効果がわかる!デジタルOOHの活用事例
-
販売促進
ファンタジー好きに訴求するグミ カンロ、空想の果実をイメージした新商品
-
販売促進
横須賀市、メタバースで観光誘致 AIアバターの実証も開始