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サイクルが早い新商品開発の現場 長期的なブランド育成が課題に~シリーズ「ブランドマネジメントの今」第4回

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フランソア(福岡県粕屋郡) 営業部 企画課 野添麻梨子氏の場合

日本の老舗や中小企業も、積極的にブランドマネジメントに取り組み始めている状況について、レポートしている本シリーズ。今回は九州エリアでパンの製造・販売に取り組むフランソア(福岡)の商品企画担当者が登場。商品の入れ替えサイクルが早い食品メーカーが目指す、ブランドマネジメントとは。

※『宣伝会議』15日発売号にて、宣伝会議主催のブランドマネージャー育成講座と連動して連載中のシリーズ「日本企業とブランドマネジメントの今」より抜粋。本記事は2011年12月15日発売号に掲載されたものです。

九州エリアでブランド展開 安全・安心なパンづくり

1951年に創業、福岡県粕屋郡に本社を置くフランソアは沖縄を除く九州全域でパンの製造・販売を手掛けるメーカーだ。福岡・長崎・熊本・佐賀で5つの工場が稼動しており、スーパーマーケットで商品を販売している。スーパー内のインストア事業も手掛けるほか、2005年からは中国での製造・販売業をはじめ、海外市場にも進出してきた。

そんな同社の企業理念は「“ヘルシー”と“おいしい”にこだわるパンづくり」だ。商品ブランドでは現在、天然酵母を使った本格パンの「スローブレッド」、食卓パンの「ナチュレル」、食パンブランドの「100%天然素材ブレッド」、菓子パンの「We」の4ブランドを中心に展開しており、このほか和菓子や洋菓子、調理パンなどのカテゴリーもある。中でも「スローブレッド」「ナチュレル」「100%天然素材ブレッド」は保存料やpH調整剤、イーストフードは不使用で、トランス脂肪酸フリーに取り組み、消費者にとって安心・安全なパンづくりにこだわり続けている。

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フランソアが手掛ける商品ブランド

菓子パンの「We」ブランドなどを担当する同社の野添麻梨子氏は現在、営業部で企画課に所属。入社当初は社長室でホームページのリニューアルなどに取り組んでいたが、2010年11月から現部署にて、カテゴリーブランディングや毎月の新商品の企画、パッケージ・広告・店頭POPなどの制作を含めコミュニケーション領域まで広く担当してきた。

半年先のカレンダーを見据え、新商品と中止商品を決断する

パンは商品の入れ替えサイクルが速く、野添氏を含むスタッフ3名で毎月15~20の新商品を発案している。フランソアでは全ブランドで常時、約150商品を販売しているが、新商品と入れ替わりで販売中止となる商品もあるためだ。それも発売後の売上動向を分析するのを待たずに、事前の売上予測に基づいて販売中止の判断が求められる。「常にカレンダーを見ながら、新商品と中止商品を決めていくのも企画課の役割。商品だけでなく、ブランド自体の見直しも定期的に行っています」。

スケジュールとしては半年先の商品ラインナップを常に考えている状況であり、新商品の企画が決定するのは週に1度の会議の場だ。会議では毎週、実際の商品開発を手掛ける技術部のスタッフへ提案を行っている。この会議で発売が決定した商品は、半年かけて商品化からパッケージの制作、製造工場でのライン化などを行っていく。

開発にあたっては事前に市場調査を行っており、九州内外へ出張して足で情報を集めている。例えば今夏に発売した、冷やして食べるパン「スイーツムーン」のように、調査を通じて世間の注目度が高まっている商品として販売を決めるものもある。

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「スイーツムーン」販売時の店頭。販促ツールなども野添氏が担当する。

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「We」ブランドの菓子パン。写真左上から時計まわりに/定番商品の「メロンパン」「お芋でどうぞ」、冷やして食べるパンの「スイーツムーン」「スイーツムーンショコラ」。

社内コミュニケーションとメッセージの発信に課題

商品開発担当になり1年。自身がブランドマネジメントに携わる上での最大の課題として、「社内コミュニケーションの難しさ」「お客さまへのメッセージの発信」を挙げる。商品企画担当のミッションとして、まず自身が手掛けるブランドや商品のコンセプトについて、技術部や流通営業を担う営業部のスタッフとしっかり共有しなければならない。月に一度の営業会議の場では、次の新商品について全営業スタッフを前にプレゼンテーションを行う。さらに社内に共有したのちは、商品パッケージや店頭POPそのものから消費者へと商品の価値を伝えていくという難しさもある。

このような課題を解決しようと、野添氏は2011年8月、宣伝会議のブランドマネージャー育成講座を受講した。最も参考になったのは、自身と同じように、消費財の商品開発に携わるメーカーのブランドマネジメントの考え方だ。

「他社ではターゲットのインサイトをどのように捉え、ブランドを管理し、商品のコンセプトに落としこみ、社内へ、そして顧客に伝えているのか。改めて整理しながら、基本の方法論も学ぶことができたのは大きい」という。今後も講座で得た知見を活かし、継続的に毎月の新商品企画を進めるとともに、長期的なスパンで商品ブランドの育成にも着手していきたいと考えている。

フランソア 営業部 企画課 野添麻梨子(Mariko Nozoe)
2010年8月フランソア入社。同年11月まで社長室でホームページのリニューアルに携わる。11月に企画課へ異動、商品カテゴリーのブランディング、商品の企画開発に携わる。

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