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「“相互信頼”で日本のカジュアルを新しく」二代目社長が目指すブランドづくり~シリーズ「ブランドマネジメントの今」第2回

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1969年創業「サンマリノ」(東京・墨田/従業員数21名)
代表取締役社長 中森英典氏の場合

欧米に端を発すると言われる、ブランドマネジメントという考え方。最近では中小企業のほか、日本の老舗企業もこの考え方に注目している状況について、本シリーズの1回目にてレポートしました。今回からは、実際にブランドマネジメントの手法を取り入れ始めた、中小企業・老舗企業へのインタビューをお届けします。

※『宣伝会議』15日発売号にて、宣伝会議主催のブランドマネージャー養成講座と連動して連載中のシリーズ「日本企業とブランドマネジメントの今」より抜粋。本記事は2011年10月15日発売号に掲載されたものです。

Gapジャパンで学んだ ブレないブランドの強さ

「中小企業は“四の五の言わず、とにかく商品を少しでも多く売りたい”というのが本音であり、何よりも営業力に意識がいきがち。だからこそ“わが社のブランドとは何か”と、じっくり考えるような時間も余裕もなかった」。東京・両国に本社を構えるアパレル卸・小売企業「サンマリノ」の中森英典・代表取締役社長は、近年の経営課題を振り返る。

サンマリノは中森氏の父・典雄氏(現・代表取締役会長)が1969年に創業。現在の従業員数は21名で、中森氏は2008年から後を継ぎ二代目社長となった。年商は25億円(グループ計48億円)で、売上の多くを10代後半~20代男性向けカジュアル衣料の企画・卸売が占める。年代やテイストの異なる6つのブランドを展開しており、年間で約1500種・200万点の商品を企画している。

取引先は郊外型チェーン店から都心型専門店、ファッションECサイトまでと幅広い。また小売にも力を入れようと、2005年には東京・原宿に直営店をオープンした。

 
サンマリノの事業の柱は商品企画と卸だが、小売事業も手掛ける。写真は東京・原宿にある直営店「Naval.」。
2011年春に立ち上げたばかりの新ブランドだ。

日々の営業活動に追われるなか、中森氏は「サンマリノという企業のブランド力を高めるにはどうしたらいいか」という漠然とした課題を抱えていた。きっかけは、4年前に実施した新卒採用活動にさかのぼる。

「まず自社のことを取引先や顧客、そして学生にきちんとプレゼンテーションできなければ、商品ブランドの魅力も伝えられない。自社の“売り”は何なのか、一言で言うとどんな会社なのか、改めて考えるようになったんです。」。

実は中森氏は01年にサンマリノへ入社する前に、商社を経てGapジャパンで働いていた経験がある。「Gap」という一貫性ある強いグローバルブランドを通じて「商品も企業も、根本がブレてはいけない」と徹底的に叩き込まれていたことも、「ブランド」の重要性を深く考える動機となっていた。

両国駅前に着いたとき、真っ先に思い浮かべる企業に

アパレル業界は2000年代に入り、ファストファッションの隆盛とともに厳しい価格競争にさらされてきた。サンマリノの競合にあたるアパレル卸売企業も両国エリア周辺には点在しているが、商品力に大差があるわけでもない。

そこで中森氏が悟ったのは、最終的にブランドをつくるのは「人」「信頼」であるということ。言い換えれば「取引先の皆さんが両国駅に着いたとき、真っ先に思い浮かべてもらえる企業でありたい」ということだった。

このような思いを明文化したのが「日本のカジュアルを新しくする」という現在の企業理念であり、同時に先代から続く「相互信頼」という社是を改めて大切にしようとの思いを強くすることにつながった。

さらに2011年2月には、宣伝会議が主催する「ブランドマネージャー育成講座」にも参加し、改めてブランドマネジメントの基本を学ぶ機会を得た。「アパレルの世界ではブランド、ブランドとよく口走ってしまうが、自分が考える“ブランド”の概念は本当に正しいのか」という疑問を解消したいという思いもあったという。

原点を継承しながらも、品質と仕組みは見直していく

「講座を受講してから、具体的なブランドベネフィットやターゲットの絞り込み方などを現場の社員と意識して共有するようになった」と中森氏。2011年春に立ち上げた新ブランド「Naval.」もファッションにこだわる男性像を社内で議論しながら絞り込み、あえて既存ブランドより高価格帯に設定したものだ。

その根底にあるのは、やはり前述の企業理念であり、社是である。「創業から40年経つが、根底に流れるものは変えてはいけない。“原点は継承し、品質は進化させ、仕組みは革新する”という姿勢でありたい」と強調する。

現在はソーシャルメディアなど、WEBを使った顧客とのコミュニケーションを模索している。ここでも、ブランドの魅力を高める重要性を感じている。「特にわが社の商品ブランドは若い世代をターゲットとしているので、親和性は高い。将来的にはソーシャルメディアで、ダイレクトに消費者からの反応が返ってくるような企業にしていきたい」。

サンマリノ代表取締役社長 中森英典(なかもり・ひでのり)
1971年東京・両国生まれ。94年慶應義塾大学を卒業後、大手商社に入社。その後、外資系アパレル企業に転職、2001年サンマリノに入社。経営企画室長を経て、08年代表取締役就任。

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