U-NEXTのIP開発は、出版から始める “1プラットフォーム完結型メディアミックス” でさらなる成長目指す

映像配信サービスの競争が激化する中、U-NEXTは独自のIPビジネス戦略で差別化を図っている。OTTプラットフォームを運営しながら、強化しているのが出版・書籍ベースのIP開発だ。なぜ、いま出版由来のIP開発に注力するのか。「IPを育てる」という本質と成長戦略を堤社長に聞いた。

オリジナルIP開発は出版・書籍ベースで強化する

━━U-NEXTがIPを意識して事業に取り組むようになった背景は?

OTTのプラットフォームビジネスの成長戦略や競争戦略を考えたときに、世間一般にオリジナル戦略が重要だと言われています。オリジナル戦略を紐解いて考えると、日本国内でオリジナリティのあるコンテンツをつくるには、本質的にはIPの川上から企画開発していかないと、将来的なスケールが見込めないだろうという問題意識がありました。単なる配信だけでは、そこにチャレンジしていけないだろうというのが、最初のきっかけです。

映像配信の世界ではNetflixをはじめとする巨大プラットフォームが台頭していますが、日本発コンテンツの強みや特長を考えても、そこにはやはり「出版」文化から生まれたコンテンツが根強い。そして、U-NEXTは日本で生まれたOTTプラットフォーム。オリジナル戦略の軸になるのは、そこだと思いました。

━━しかし、日本には圧倒的な競争力を持つ出版社があります。その中で出版ベースのIP開発に参入する理由は何でしょうか。

前提として、彼らを競合だという視点は持っていません。そもそも日本は国際的にも「IP大国」だと言われます。そのエンジンになっているのが日本の出版文化です。毎年、何万というコンテンツが書籍、漫画というフォーマットを通じて量産され、市場の淘汰に耐え抜いたIPが “ヒットIP” としてスケールしていく。このサイクルが健全に回るのが日本の特徴です。

この前提のもと、U-NEXTはなぜ出版・書籍ベースを選ぶのか。映像配信サービスを提供する我々にとって、オリジナルのドラマや映画を開発するのと、オリジナルの小説や漫画を開発するのとでは、エコノミクスのフレームがまったく違うためです。

たとえば、オリジナルの映像作品を製作しようとしたら、数千万から数億円、大型作品なら二桁億単位の投資が必要です。一方で漫画や書籍は、その10分の1、100分の1レベルのスケールで、市場にIPを創出できる。さらに日本には、出版社発の原作が新たなコンテンツへ展開されることを受け入れる生活者が多くいます。

また、市場規模を見ても、電子書籍市場は6,000億円から8,000億円近くまで伸びており、映像のOTT産業(5,000~6,000億円)を上回ると言われています。紙媒体を含めれば、さらに巨大な産業規模です。

最初のメディアフォーマットとして、映像からIPをソースするのではなく、小説・漫画からIPを開発するという考えは、経済合理性や市場規模から考えても自然な流れ。U-NEXTが電子書籍ストアとしてのサービスを拡張しているのも、この構想の一環によるものです。

━━2026年1月1日にはIP本部を立ち上げています。U-NEXTでIP開発の中核を担うのでしょうか。

その認識で間違いありません。本部長に迎えたのは、大手出版社の漫画雑誌などでも編集長を務め、アメリカでも日本のコンテンツIP展開を経験してきたことのある人材です。

IP本部が担うのは、U-NEXTのIP開発の「土壌づくり」です。大手出版社が何十年も継続的にヒットを生み出せているのは、優秀な人材が集まっているのはもちろんですが、IPが育つ「土壌」がしっかりしているから。U-NEXTでも、一時的な成功ではなく、継続的にIPを生み出せる仕組みづくりを重視する方針です。

そのために必要なのは、「量」です。年間で創作するページ数はどの出版社もある程度意識している指標ですが、当社でも重要指標としていきます。ある一定の量がないと、市場にコンテンツを出す回数が少なくなり、ヒットの確率も再現性も低くなります。まずは量を確保する体制や仕組みづくりが必要で、そこからサイクルが回り始めたら、さらにスケールしていくイメージです。

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