ECの課題「カゴ落ち」対策にPinterest 女性向けアパレルUSGが1カ月でつかんだ売上増への手応え

アパレルECストア「USG」が、ビジュアルプラットフォームPinterest(ピンタレスト)の広告運用によって売上増加を実現している。2025年2月に運用を開始してから約1カ月で売上への貢献が見え始め、現在はAIを活用した広告ソリューション「Pinterest Performance+(パフォーマンスプラス)」を中心に運用を続けている。導入の経緯や成果について、運営会社FORV(フォーヴ・福岡市)の堀切達矢氏とピンタレスト・ジャパンの井上英樹氏に聞いた。

海外配信や自社ブランドの認知獲得にも期待

USGは2024年8月に開業したアパレルECストアだ。「海外ガール」(USガール)のトレンドを展開している点が特徴。ターゲットは10代から30代前半の女性で、中価格帯の商品をラインナップしている。商品は海外から仕入れた既製品のセレクト品が中心で、毎月60~80点を追加している。

海外ファッションを取りそろえたアパレルEC「USG」

スタート当初は安価な価格設定も試したが、「ここで買う必要はない」と受け止められるなど、かえって目に留まりにくいという課題が生じた。そこで全体の価格帯を引き上げたところ、リピーターが増え、クレームの減少にもつながったという。

堀切氏は「価格設定を見直したことでガラッと変わりました。世界観と価格帯がマッチしていなかったのだと思います」と振り返る。サイト全体の統一感や、こだわりのあるセレクト、それに見合う価格帯が結びついたことで、購買層の質も変化したとみている。

FORV EC・マーケティング事業部 事業責任者 堀切達矢 氏

USGの認知拡大の出発点となったのは、堀切氏が以前から運営していた、海外の若年女性のコーディネートを紹介するInstagramアカウントだった。そのアカウントをECストアへ転換する形で事業を始めたという。

ストア化に伴って一定数のフォロワーは離脱したものの、その後はInstagram広告を活用するなどして認知を拡大した。広告運用を始めて2~3カ月で手応えをつかんだという。現在の安定運営の背景には、日々の広告数値の確認に加え、競合サイトを常に分析し、優れた点を自社ストアに取り込んでいく地道な改善活動がある。

Pinterest広告導入は「口コミ」がきっかけ

Pinterest広告は2025年2月に導入を決めた。きっかけは、同業他社からの口コミだったという。USGでは広告運用にかけるリソースの削減が課題となっていたうえ、当時は1つの媒体に依存した運用だったため、接点を広げながら効果を検証していく必要があった。そうした中で、「ファッション」と親和性の高いプラットフォームを模索していた。

AIで広告運用を自動で最適化する「Pinterest Performance+」

導入のハードルを下げたのは、USGも採用しているコマースプラットフォーム「Shopify(ショピファイ)」との連携のしやすさだ。Pinterestは、ユーザーが好みのテイストやライフスタイルをビジュアルで探し、保存しながら比較検討を進めるプラットフォームだ。特にファッションのように、「自分に合うか」「世界観に共感できるか」が重視される商材と相性がよく、検討段階のユーザーに自然にアプローチしやすい。Shopifyとの連携のしやすさや、AIを活用した広告最適化機能も備えており、小規模なEC事業者でも導入しやすい点が特徴となっている。

USGは導入当初から、AIで最適化を図る「Pinterest Performance+」を活用している。ターゲティングや最適化を自動化できるため、広告運用の経験が少ない事業者でも効率的に扱いやすいのが特徴だ。

広告開始後は、ストア訪問者数が大きく伸びた。堀切氏は「他の広告媒体と比べてもコスト効率が非常に高く、訪問者数はかなり増えた」と話す。実際、2025年のカタログキャンペーンでは、他媒体と比べてCPMが96%減、CPAが32%減、ROASは1.25倍となった※1

初期段階では認知拡大が先行し、購入にはすぐ結びつかなかったが、ピンタレスト・ジャパンの担当チームとの月1回の定例打ち合わせを通じて最適化を進めた結果、開始から約1カ月で売上への寄与が確認できたという。

Pinterest特有の検討層アプローチ

井上氏は新たにクライアントになる企業には、「Pinterestは、まだ検討段階にあるユーザーにうまくアプローチできるのが特長です。短期間のCVRだけで評価するのではなく、一定期間の行動を見てご判断ください」と説明するようにしているという。導入前から中長期の成功を見据え、伴走するチーム体制を組む点もPinterestの特徴だとしている。

ピンタレスト・ジャパン 執行役員ディレクター 井上英樹 氏

実際、USGのキャンペーン開始初期の2025年1月~6月と後期の7月~12月を比較すると、CPCはほぼ横ばい、CPAは32%減、ROASは約1.3倍となった※2

Pinterestの活用が購入促進につながるのは、ユーザーを「納得感」を持った購買へ導きやすいためだとしている。背景にあるのが、ECサイトに共通する「カゴ落ち」の課題だ。商品をカートに入れながらも、平均して約7割のユーザーが購入に至らず離脱するとされている※3。その根本には「FOBO(Fear of Better Options)」、つまり「もっと良い選択肢があるのではないか」という不安がある。デジタル上に情報があふれるいま、選択肢が多すぎるがゆえに購入を決めきれない状態が生まれている。

「自信を持って『これでいい』と思えるときに大事なのは納得感です」と井上氏。Pinterestは関連性の高いコンテンツを整理して提示することに長けており、納得感の醸成に役立つと説明する。具体的には、USGの商品に関心を持ちそうなユーザーに対して、キュレーションされた情報の中で商品が表示されることで、「これは自分向けかもしれない」と感じ、サイト訪問から検討、購入へと進みやすくなるという見立てだ。

実際、Pinterestユーザーの90%が「自分に関連性のある商品が見つかる」と答え※4、59%がショッピングに利用している※5という。

現在USGでは、Shopifyの商品画像と連携したカタログ広告を中心に運用している。フォーマット最適化やROAS最適化など複数のAIソリューションを試した結果、足元ではコンバージョン数最適化がより安定した成果を出している。

Pinterestで「ファッション」「レディース」「Y2K」などで検索すると、USGの広告がユーザーにとって違和感ない形で表示される

堀切氏は、AI活用の考え方について「細かい修正を自分でするより、大枠はAIに全部任せ、ずれていると感じた部分だけを修正する」と話す。井上氏も「ターゲティングのキーワードを変えるといった従来の細かい作業はAIが代替してくれます。重要なのは、AIソリューションの結果をどう読み取り、クリエイティブを追加するかどうかを判断すること」と補足した。

次の一手は北米市場の再アプローチ

今後USGは、北米市場への再アプローチを図る。過去に一度は試みたものの、日本とは異なる市場に早い段階でリソースを振り向けるのは時期尚早と判断し、現在は国内に集中している。Pinterest導入を検討した背景には、海外へのアプローチに強いという評価もあった。さらに、自社オリジナルブランドの開発と販売にも力を入れる。現在は海外から仕入れた商品のセレクト販売が中心だが、2026年度中には自社商品の企画から開発、販売までを一貫して手がける体制を整えたいとしている。

堀切氏は「今年は勝負の年だと思っています。ガッツリとアクセルを踏んでいきたい」と意気込む。自社ブランドの認知獲得においても、Pinterestの活用に期待を寄せている。

これに対し井上氏は、「Pinterestでは海外配信における言語や通貨の自動変換ソリューションも提供しています。自社ブランドの認知獲得に向けては、スポットライトをはじめとしたブランド系、認知系の広告商品も提案できます」と話した。

導入初期の認知拡大から、売上への寄与、さらに継続的な改善へとつなげてきたUSGにとって、Pinterestは単なる集客媒体ではなく、中長期で事業成長を支える運用基盤になりつつある。

※1:2025年1月1日~12月5日のキャンペーンデータから ROAS を算出(日本)。FORV調べ
※2:2025年12月現在(日本)。FORV提供
※3:Pinterestの委託によるThe Decision LabおよびMorning Consultの「Empowered Decisions Power Performance」より(グローバル、2025年8月)
※4:Pinterest 委託による The Decision Labの「Empowered Decisions Power Performance」(グローバル、2025年5月)。Pinterest群の参加者を割り当てたランダム化比較試験より
※5:Pinterestの月1回以上ユーザーとその他プラットフォーム(Instagram, TikTok, X, YouTube)の月1回以上のユーザー平均値の比較。Ipsos社「Pinterestとショッピングに関する調査(Pinterestによる委託)より(日本、2025年7月)

お問い合わせ

ピンタレスト・ジャパン合同会社

URL:https://business.pinterest.com/ja/ads-consultation/

advertimes_endmark
この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事